イチロヲ

殺人狂時代のイチロヲのレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
4.5
犯罪心理学者の中年男(仲代達矢)が、精神障害者を殺し屋に仕立て上げている闇組織と対峙する。都筑道夫・著「飢えた遺産(なめくじに聞いてみろ)」を映像化している、サスペンス・コメディ。

精神病棟を統括する傍ら、「人口過密の調整(=人間の間引き)」を推進させている謀略者(天本英世)が、元ナチス党のドイツ人から殺しの依頼を受諾。犯罪心理に傾倒する主人公が、多様な形態で接近してくる刺客たちを、のらりくらりとかわしていく。

中盤に入ると、連れ去られた女性記者(団令子)を救出するべく、主人公と泥棒(砂塚秀夫)が東奔西走。岡本喜八の喜劇演出が冴え渡っており、団令子のお色気から発破を使用した大掛かりなアクションまで、ありとあらゆるエンタメが繰り広げられる。

何よりも、天本英世のキャラ付けが魅力満点であり、ヒトラーの影響力をもとにした、殺人哲学に刺激を受けることができる。障害者を殺し屋に変身させるまでの過程が描かれないため、ケレンミが薄味になっているが、演者の"キチガイ"連呼が痛快極まりない。
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