半兵衛

殺人狂時代の半兵衛のレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
5.0
日本映画で初めてショックを受け、以降何回も繰り返し見ている作品。正直言ってアクが強すぎて、この映画が好きだというとドン引きされることの方が多い。映画館で見ても大爆笑してる時もあれば、全くうけてないときもある。でも自分はそんな「殺人狂時代」が大好きなのである。
仲代達矢のすっとぼけた三枚目の主人公・桔梗信治(でも実はこの映画のなかではもっともマトモではないという)、彼を付け狙う「大日本人口調節委員会」の病んだ殺し屋たち、彼らをまとめるマッドな博士・溝呂木省吾(天本英世の演技が素晴らしい)、そんなマトモではない人間に溢れたマトモではない世界をブラックユーモアに満ち溢れた演出、白黒の妙を生かした撮影、シュールな美術、とぼけた音楽でまとめた結果、初心者お断りのとんでもない映画が出来てしまった(酒で例えたらリトアニアのサマネ)。面白い人には爆笑もので、ハマらない人には苦痛の世界。
ちなみにこの映画では岡本喜八作品の常連である砂塚秀夫が大活躍しており、特にラストは砂塚秀夫独特のすっとぼけたコメディアンぶりが活かされている。しかし岡本喜八と石井輝男、日本を代表する二人の奇才に愛された砂塚秀夫は羨ましいというかすごいというか。
あと「8ミリ映画に半裸のヒロインをいたぶるシーン」が映画に出てくるが、同じ1967年のカルト映画「殺しの烙印」、「荒野のダッチワイフ」に同じシチュエーションのシーンが出てくるのは偶然か?
半兵衛

半兵衛