CANACO

ラリー・フリントのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

ラリー・フリント(1996年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1996-1997年公開。『カッコーの巣の上で』(1975)を撮ったミロス・フォアマン監督作品。
ポルノ業界の話は受け付けないという人でない限りは、見て損はないと思う。

ポルノ雑誌『ハスラー』の版元トップ・ラリー・フリント氏の半生を描いたほぼ実話(脚色あり)の物語。
実際にフリント氏が起訴されたハスラー・マガジン対ファルウェル事件も扱っていて、法廷ものとしても面白かった。『全裸監督』と違う面白さは、表現の自由や“精神的苦痛を伴う可能性のある公人のパロディ”の是非に関する法廷のやり取りにあると思う。

フリント氏は典型的なワンマンタイプで、村西とおる氏に似ている。フリント氏は1972年に『ハスラー』創刊し、村上とおる氏は1980年にポルノ雑誌の書店を立ち上げている。

『ハスラー』が100万部売れる要因となったジャクリーン・ケネディの盗撮ヌード写真が掲載されたのは1975年。『ブギーナイツ』(1997)のモデルになった男優ジョン・ホームズ は、1970年代から1980年代にかけて多数のビデオ作品に出演していた。そういう時代の話。

『真実の行方』と同年に公開された作品で、エドワード・ノートンはこちらでは正義感あふれる弁護士を演じている。フリント氏を演じたウディ・ハレルソンもいいが、個人的には妻役のコートニー・ラブがとても印象的。トラウマをもつ依存症の魅力的な女性を演じていて、とてもいい。

実際のラリー・フリントは2021年2月に心不全により他界(享年78)。1978年の銃撃により下半身付随になったエピソードも本作に盛り込まれているが、「犯人はまだ捕まっていない」と最後にテロップが出る。

彼を下半身付随に至らしめた銃撃犯とされる人物は、2013年に死刑が執行された。その直前にフリント氏は、同じ目には遭わせたいが殺したいとは思わないと、死刑を取りやめるよう求めていたらしい。





□メモ
本作はゴールデングローブ賞で監督賞と脚本賞を受賞している。脚本を手掛けているのは『エド・ウッド』(1994)、『マン・オン・ザ・ムーン』(1999)、『ビッグ・アイズ』(2014)を手掛けたスコット・アレクサンダー&ラリー・カラゼウスキー。
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