トムヤムくん

ラリー・フリントのトムヤムくんのレビュー・感想・評価

ラリー・フリント(1996年製作の映画)
4.3
ポルノ雑誌「ハスラー」の創刊者ラリー・フリントを描いた映画。その過激な内容から猥せつ罪で起訴されるも、米国憲法修正第1条の「表現の自由」を盾に世間の偽善を暴こうとする…。主にハスラー・マガジン対ファルウェル事件を中心に描いている。

監督は『カッコーの巣の上で』や『アマデウス』で知られるミロス・フォアマン。主演はウディ・ハレルソン。またラリー・フリント本人が裁判長役でカメオ出演していたりと遊び心も満載。

本作は公開時に様々な映画雑誌で「1996年最高の映画」と喝采を送られたが、一方で保守派の人たちや反ポルノ活動家からの批判が殺到。ベルリン国際映画祭では金獅子賞を、ゴールデン・グローブ賞では監督賞と脚本賞を受賞したものの、その批判の多さから興行成績はコケてしまい、アカデミー賞はたったの2部門のノミネートに留まってしまった。

ウディ・ハレルソンはもちろんのことだが、自由奔放な彼に翻弄される弁護士を演じたエドワード・ノートンや、元ストリッパーの妻コートニー・ラブなど、物語だけじゃなくて役者陣の見応えもすごい。まぁコートニーに関しては、演技じゃなくて彼女のそのままと批判されがちだけど、それでも1番輝いてるキャラクターだと思う。ラストのシーンは鳥肌モノ。

波乱万丈な人生ゆえに伝記映画としても充分に面白いクオリティなのに、コメディ映画としても法廷モノとしてもめちゃくちゃバランス良くて、ミロス・フォアマンの凄さを実感させられる一作だった。圧巻。