「…はて?なんの話じゃったかな?」
「もういちど言おう。 我々の正体を知る者は、 もはやあなたひとりだけなのだ。 さあ、 あなたの記憶を私に差し出したまえ。」
「…正体? はて?…なんの話でしたかのぉ?」
「だからね、 私らのことを覚えてるのは、 もはやあんただけなんだよ。 さあ、 あんたの記憶をよこしなさい。」
「…記憶?…はて?…そう言えばわしゃここに何をしに来たんじゃったかな? え~っと…」
「いい加減にしろよ、 このク○ジ…あ、 失礼。 とにかくあんたの記憶を私によこすんだ!」
「○ソ…○ジイ? …そうじゃった!わしゃ眼鏡を探しておったのじゃ。 眼鏡眼鏡… お前さん、 わしの眼鏡を知らんかね?」
「あ~っ、もおっ! 眼鏡ならあんた初めからかけてるよ!さあ、 さっさと私に記憶をくださいよお願いだから!」
「おお、 たしかにわしゃ眼鏡をかけておるわい♪ ……ところでお前さんは、 いったいどなたでしたかな?」
「だから私は、 あんたの記憶を奪うためにやって来たエイリ、 あっ!言ってはいけな :
ぴょ~~~~~~~~~~~~~~~ん!
(空の彼方へ消える)
「…もし?お前さん、 いったいどこへ行きなされた?…もし?」
あとがき:
2017年、 太陽系外から地球に急接近し、 「加速」しながら猛スピードで去っていった謎の葉巻型天体、 「オウムアムア」。
そして数日前、 ついにアメリカ国防総省が正式に公開した「未確認空中現象」の映像。
宇宙にいるのは、 私たちだけではない。
いっぽう、 私が「どこに眼鏡を置いたか思い出せない率」は、 日々深刻なものとなりつつある。
第1種接近遭遇:
胸ポケットにある眼鏡を探す。
第2種接近遭遇:
額にひっかけた眼鏡を探す。
第3種接近遭遇:
すでにかけている眼鏡を探す。
第4種接近遭遇:
そもそも何を探してたのか思い出せない。
… あなたは第何種?
2020ー42