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ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記のanguishのレビュー・感想・評価

3.5
大長編ドラえもん 第18作

▲□何か一つの時代が終わり、新たな幕開けを感じる作品。原作者の藤子・F・不二雄が執筆中に死去し遺作となり、アスペクト4:3サイズで製作された最後の作品。作風が原点のようにドラえもんらしい優しさに溢れている。

ストーリーラインは些か強引さはあるものの伏線の見事な回収とコピーでありながらオリジナルが持ち合わせていない「良心」の芽生え、コピーと言えども別人格である設定など興味深く「生命のねじ」によって人格が与えられたぬいぐるみたちが人間の失敗を教訓により良い世界を作り出す過程がよいけど、そこに固執してはみ出す行為は排除する気質は後々同じ運命を辿りそうな…言葉を喋らせない方がよかったように個人的に思う、近代的な成長より自然的な発展をした方が良かったような気がする。

ここまで極端な話が多かったけれど今作は安心して見れて凄く優しい気持ちになれた。途中で絶たれたシナリオを著者がまるで死期を悟ったかの様なヒントを残し、その思いを沢山の人に手によって完成に導かれた事がこの作品のテーマでもある「命の芽生え」の如く、みんなの「ドラえもん愛」が咲き誇り、素晴らしい作品になったのだと思う。

(20220221)-22(097)
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