BOB

ファントム・オブ・パラダイスのBOBのレビュー・感想・評価

3.8
『オペラ座の怪人』を基にした、ブライアン・デ・パルマ監督のロック・ホラー・ムービー。

作曲家ウィンスロウが愛する女性のために作曲をする。しかし、自らのロックパレス建設を企む悪徳レコードプロデューサーに騙され、曲を奪われる。

"Never sing my music again. Not here, not anywhere. Do you understand? Never again. My music is for Phoenix. Only she can sing it. Anyone else who tries, dies!"

ワオ!凄いものを観た。デ・パルマ監督の映画づくりに対する並々ならぬ情熱を感じる怪作。🎸

混沌とした異様な雰囲気が漂う。『ロッキー・ホラー・ショー』のようなカルト映画の世界観だが、ストーリーは本作の方が断然受け入れやすいし、テンポも良いので、サクサク観られる。

悪徳音楽プロデューサーに騙されて、悪魔と契約を結んでしまい、曲も顔も彼女も自由も全て奪われてしまった作曲家ウィンスロウ"The Phantom"の悲劇と復讐劇。

デ・パルマ監督の映画技巧が光る。
・一人称視点&ダース・ベイダーのような呼吸音。
・分割画面&長回しワンカット。車のトランクに時限爆弾を仕掛けるシークエンス。『黒い罠』を意識しているらしい。初見ではあまり気づかなかったが、2度目観たら感動した。
・舞台セット。スワンがファウストの歌手を選ぶシーン。レコードのような円形テーブルが360度回転。オーディション参加者が暗闇から次々と現れてくる。
・編集。ピクチャー・イン・ピクチャー。🎹×🎹。ショット間のつなぎにDeath Records🐦ロゴの型抜き。
・ヒッチコック愛。鏡やビデオカメラを使った覗き見をしているかのようなカメラワーク。『サイコ』のシャワーシーンを丸パクリ。

音楽が良い。一番印象的だったのはジェシカ・ハーパーの歌唱シーン。あまりの美声に感動した。前説バンドのような"The Juicy Fruits"の曲も何か良い。The Beach Boysのパクリバンド"The Beach Bums"が登場。人を馬鹿にしたような"Goodbye Goodbye"が耳に残るエンディング曲"The Hell Of It"♪は、スワン役ポール・ウィリアムスの書き下ろし。

随所に鳥のモチーフ。スワン、フェニックス、Death Records、衣装。

セットデコレーション担当に、『キャリー』に出演する前のシシー・スペイセクがクレジットされている。

495
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