がちゃん

ファントム・オブ・パラダイスのがちゃんのレビュー・感想・評価

4.6
歌、恋人、人生を、悪魔の帝王である音楽プロデューサー・スワンによって奪われた作曲家ウィンスローリーチの壮絶な復讐劇。
カメラが動く、回る、分割する。
ブライアン・デ・パルマ監督の映像テクニックが炸裂する本作。
いたるところに、古典怪奇映画のオマージュを捧げ、ヒッチコックには最大限の敬意を示す。
劇中の音楽には郷愁を誘うナンバーもあり、ファントムとなったリーチが、スワンの館の天窓から恋人の情事をのぞき込むシーンの切なさよ。
土砂降りの雨がその心情を演出する。
地下に幽閉されたリーチがろうそくの灯のもと、ひたすら作曲を続けるシーンには哀愁を誘われる。
歌姫、ジェシカ・ハーパーの可憐で小悪魔的魅力も見どころで、クライマックスの饗宴の場面での彼女の悲しみの表情で切ないエンディングを迎える。
そして、何よりもすごいのが、これだけの内容を詰め込みながら、本作がロック・ミュージカルコメディの面を持つこと。
断言できる!
本作が、ブライアン・デ・パルマ監督の最高傑作だ。
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