なんだか少し甘美で法悦的にも感じるような、不思議な魅力のある作品だった。
キャリー・マリガンのベビフェな可愛さは反則級だな。他は『プロミシング・ヤング・ウーマン』しか知らないのだけれど、もっと王道ヒロインしてるのが観たいな。メンヘル気味医学生に子持ち人妻に、難易度が高すぎるんよ。
あとライアン・ゴズリングはお喋りにも寡黙にもなれてその都度フィット感すごいな。
ストーリー的には任侠ものの筋書きに近いようなオールドタイプの小規模抗争なのだけれど、ドラマパートにおける柔らかくて暖かい色味と夜に瞬くピンクネオン、そこに流れるムーディーな音楽など、とにかく画面作りと音楽使いでいやらしいほど雰囲気が演出されている。最近覚えた言葉で言えば そう、「チルい」ってやつに近いのかもしれない。（合ってるか分からんけど）
そこから突然に血みどろのハードボイルドが勃発し、主人公が背負うサソリの一面が顔を覗かせるという展開の無常さもドラマ全体に苦みや渋みを加えている。
というかカークライムアクション系で穏便に済むケースなんてないよなって思ったり。
車内における密室のロマンティックさと、人を容易に殺し得る車そのもののドラスティックな側面がまさしく表れているようにも感じる。
