ぼっちザうぉっちゃー

ルームのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.7
空を翔け宇宙船をワンパンで破壊する姿以外のブリー・ラーソンが観たくて。

序盤の男の子の語りや文字通りミニマムな部屋の御伽噺感ある導入と、徐々に明かされる暗い経緯と現状が、心痛と緊迫を同時にもたらして引き込まれた。

固唾を飲んで見守る脱出シークエンスはまさしく、初めて自立しようとする乳児を目の当たりにするようなハラハラと希望に溢れていて、その後も終始男の子目線で「自分の世界を視る」といった表現が印象的だった。

後半では、新しいものに触れ前に進む「子にとっての時間」と、失った過去が押し寄せる「母にとっての時間」が同時に進行するのが生々しく辛かった。複雑な事情以前に、未成熟でまだあどけなさの残る若母の「なり切れない」感じが絶妙だった。

最後は、あくまで社会的な問題にせず、普遍的な母子、一人と一人の受容と成長の物語へと帰着していたので観やすかった。