ともぞう

点と線のともぞうのネタバレレビュー・内容・結末

点と線(1958年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

前半は良いテンポで浮かび上がった疑問点を丹念に追っていく感じが良かったが、後半はドタバタに解決し、最後は犯人の安田夫妻が無理心中して終わる。尺をもう少し伸ばして,後半を充実させたら良かったのに。でも、刑事ものの古典的名作であることには間違いないと思う。

〈あらすじ〉
冬の博多郊外、香椎湾の海岸の黒い岩の上に、男女の死体が並んでいた。検証の結果、合意の上の心中死体と断定された。男は産工省の課長補佐・佐山憲一(成瀬昌彦)、女は東京赤坂の料亭小雪の女中・お時(小宮光江)と判った。佐山の遺留品の中に、列車食堂の受取証があった。御一人様と書かれてある。老練の刑事・鳥飼重太郎(加藤嘉)はそれに疑問を持った。男女は同じ汽車で来たのではないのか。博多の旅館を洗うと、佐山は1月14日あさかぜ号で東京を発ち、東中洲の丹波屋に泊り、28日の夜、女性からの電話で宿を出、そのまま香椎海岸へ向ったらしいのだ。「小雪」の女中・八重子(月丘千秋)は東京駅で出発する2人を見かけたといった。1ヶ月後、警視庁捜査二課の刑事・三原紀一(南広)は福岡署へ向った。心中が汚職事件に関係あるとにらんだのだ。鳥飼の案内で現場を調べる。鳥飼は1人で調べた結果を話した。事件直前、2人を見かけたものがいる。しかし、女の方がお時らしくなかったことなどを…。が、確証はなかった。三原は帰京した。東京駅で、八重子の証言を思いだした。彼女はなぜこの頻繁な列車発着の中で、ホームをへだてた佐山・お時を見ることができたのか。助役室で、ダイヤグラムを調べ、1日に1回、あさかぜ発車の直前に4分間だけ13番ホームから15番ホームを見わたせることを知った。三原は八重子から、安田辰郎(山形勲)という男に佐山たちの姿を教えられたことを聞きだす。安田は産工省出入りの機械商人だ。産工省の石田部長(三島雅夫)と親しいらしい。彼に会うと、あの日は鎌倉で静養している妻の安田亮子(高峰三枝子)に会うため東京駅へ行ったと言った。心中事件当日は、北海道に出張していたもいう。三原は安田の妻・亮子を鎌倉に訪ねた。1冊の汽車の時刻表が枕元にあった。彼女の随筆に、彼女が時刻表に日ごろ親しむことが書いてあった。安田は証言どおり、事件当日、北海道で河西(吉川英蘭)という男にあっていた。飛行機を使ったのか。青函連絡船の乗客名簿に、彼の自筆の署名が残っていた。しかし、ちょうど彼と同じ頃汚職の中心・石田部長が部下の佐々木(増田順二)を連れ、北海道へ出張していたことが判った。名簿には佐々木の名がない。三原は佐々木を問いただし、安田のアリバイを割った。やはり、飛行機を使っていた。アリバイ作成には石田、佐々木らが協力していた。彼らは汚職の鍵をにぎる佐山を殺す必要があった。安田はそれを請負った。亮子は心中事件を計画した。亮子は夫の女、お時を憎んでいたのだ。目撃者づくりやアリバイはみんな彼女が立案した。海岸で、別別に亮子は佐山を、安田はお時を殺し、死体を並べて置いたのだ。安田は破局を知り、囲い女を連れて逃げる寸前、亮子に毒殺される。三原たちが駈けつけたとき亮子も毒を飲んで、そばに倒れていた。
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