cham

生きてこそのchamのレビュー・感想・評価

生きてこそ(1993年製作の映画)
4.8
中学生の時に数学の先生が授業を割いて見せてくれた映画。
大人になった今改めて観たけれど、無情な現実を突きつけられながらも人間はこんなにも強く生きていけるんだと圧倒された。

ウルグアイ空軍571便遭難事故。この映画を観た中学生の頃に知りましたが、1972年に実際に起きた事故なんですね。
日ごろ、食事に困ったり寒さに凍え死にそうになったり目の前で愛する人が命を落とすこともなく平和に暮らしているけれど、想定もしていない悲劇はある日突然やってきて、底なしで繰り返される。それでも残された人間はそこで終わりじゃない。
とにかく死を意識する極限のシーンの連続だけど、活路を見出そうと雪山を散策に出た人たちが散らばったシートをソリにして戻ってくる生き生きとしたシーンもすごく記憶に残ってる。

私は中学のとき、学校で初めて人の死に触れることがあり、元気だった人がある日突然いなくなる現実が実感できず毎日時間が止まっているような感覚で過ごしていた時期があった。
この映画を観たのがその前だったのか、後だったのかが思い出せないけど、この映画はタイトルの通り人間の「生」を感じさせてくれる作品で、そんな中学の時に出会えてよかった作品だなぁと思う。
この映画を見せてくれた数学の先生、今もどこかで元気にしているかなぁ
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