akrutm

しあわせはどこにのakrutmのレビュー・感想・評価

しあわせはどこに(1956年製作の映画)
4.3
建設業界の実力者の目に偶然留まったことで、建設会社の専務秘書となった若い女性に襲いかかる様々な苦難を軸に、男女の恋愛や親子愛を描いた西川克己監督の恋愛映画。若者向けの芸能誌「平凡」に連載されていた小糸のぶの同名小説が原作なので、内容は若い女性が憧れるようなメロドラマであるが、娯楽映画として十分に楽しむことのできる良作である。コロムビア・ローズの唄う主題歌も、昭和を感じさせてくれてgood!

なんと言っても本映画の魅力は、まだまだデビューして間もなく初々しさが印象的な芦川いづみが演じる薄幸のヒロインである。とにかく二十歳すぎの清楚で笑顔の可愛い芦川いづみを十分に堪能できる作品なので、ファンとしてはそれだけでたまらない。華がないと言われて日活の看板女優にはなれなかったが、彼女ほどのピュアで清楚な雰囲気を備えた女優は、過去にも現在にもいないであろう。2018年にデビュー65周年を迎え、記念DVDや書籍などが販売され、秘かに芦川いづみブームになっている。本映画もデビュー65周年記念DVDの第2弾として、今年の4月に初DVD化されたばかりである。

こんなに素敵な女性をほっておくはずはなく、同僚の男性には狙われるし、伯父には襲われそうになるわで、彼女の純潔は何度も危険にさらされる。面倒を見てくれた伯母が亡くなったり、同僚女性からも嫉妬されて意地悪されたり、亡くなったと思っていた母親の秘密を知ったりと、とにかくいろいろな不幸が襲いかかるのである。そんな中で彼女と相思相愛となるのが葉山良二演じる同僚の技術者であり、彼と二人で苦難を乗り越えていく様子が描かれるのである。もちろん最後はハッピーエンドであり、そういう意味では映画としては平凡とも言えるが、芦川いづみ主演の映画なので、どんな展開でも許せてしまう。ストーリーもどんどん展開していくので、見ていて飽きることはない。ただし、テンポが良すぎるので、部分的にシーンがカットされているんじゃないかと思ってしまうような場面もある。特に気になったのが、芦川いづみの母親の秘密を知ってしまった葉山良二が彼女を避けるような素振りを見せるシーン。彼女の悲しそうな表情が印象的なのだが、その後は何もなかったように展開していくのがちょっと中途半端ではある。

主役の二人以外では、悪役ではないベビーフェイスを演じた二本柳寛と、なんともいけすかない青年を演じた宍戸錠。特に、宍戸錠は頬を膨らます前だったので、全然気付かなかった。
akrutm

akrutm