つぼかび

見えない恐怖のつぼかびのレビュー・感想・評価

見えない恐怖(1971年製作の映画)
4.8
窃視的欲望が露呈するラストショット怖ええ・・・!盲目の主人公に迫る猟奇殺人鬼の恐怖を描いたリチャード・フライシャーの作品。如何にも今風!って感じの星型のブーツだけで表象される殺人鬼(スプラッター映画を観て、ミリタリー系のおもちゃをウインドウ・ショッピングし、ポルノ雑誌を読みつつくだらない理由で人を殺す)は、迫害の対象たるジプシーと対置される。

主人公が殺人に気づかず死体の転がる屋敷の中で普通に生活するシーンの不気味さたるや。眼が見えないことをもっとも効果的に描写できるメディアがもっとも視覚的なメディアである映画であるというのも実に皮肉。見えない様をマジックミラー越しに覗くかのような罪悪感とスリルさは『血を吸うカメラ』なんかで自己言及的に描かれてきたような映画の持つ窃視症という根源的な本質に由来する。

如何にも叙述トリックしますよーみたいな犯人の描き方だったけど、そこまでびっくりな犯人ではなかった。
つぼかび

つぼかび