Punisher田中

天使のくれた時間のPunisher田中のレビュー・感想・評価

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
4.2
幸せとは、一体なんなのか。
金か、愛か。
はたまたーーー

全ては選べないし、全てをうまくやるなんてことは無理なのだと、頭ではわかっていながらも、体でも最近ようやくわかってきた。
そんな中でふと目に止まった本作。
豊かだが孤独な人生か、貧しいが愛に溢れた人生か、の正反対な2極化された人生をふとしたことで体験することとなる主人公。
その体験を基に、ある選択をすることとなる....といったストーリーで、いかにもありきたりだ。
こんなのはバタフライエフェクトや他作品でも色々と観たことがある。
しかし、今作はまた違った。
主人公が本当に愛という物を全く知らないし、受け入れようとはしない。
愛に溢れた人生を体験していても、しばらくは出世と金にしか目が無く、ゆったりした心温まる時間を煙たがる。
しかし、時間が経つほどにようやく愛の本質を掴んでいく。
この描写が凄く丁寧で、観ている人の心を掴むエモーショナルなものに仕上がっているのが良い。
愛を受け入れないという徹底的な土台づくりで完成された主人公のキャラクターが、わかりやすい形で変容していくさまが非常に良かった。

よく、この手の作品は愛による人格の変容などは一切描かず、最初から愛を知り尽くしていて、一つの出来事をトリガーにすぐ人を愛すことの出来る軽いキャラクターが多いイメージ。
しかし、今作は愛を忘れ去った男をメインに据えることで、結果よりも過程を非常に大事にしているともいえた。
テンポも良く、セットや世界観は素晴らしき嗚呼人生を思い起こすが、現代チックな撚りもしっかり効いて愛溢れる傑作に仕上がっている。

非常に丁寧に作り上げられたヒューマンドラマで、脚本が巧妙だからか、わかっていても涙が出てしまう。涙を流すまいとする理性を吹き飛ばす感動作だった。
クリスマスや冬の時期に鑑賞するのがオススメ。