全編、迫真のドキュメンタリータッチによる映像。互いに憎しみ合う人間の残酷さと愚かさ。ラストは胸糞悪い気分にさせられる。
しかし、どうも私はケン・ローチ監督の厳格過ぎる演出スタイルにそこまで共感出来ず、まだハリウッド的なハッピーエンドを求めてしまう辺りはいったい何故なのか?
恐らくこの監督が毎回深刻ぶってるだけで映画らしい遊び心が無いから…といった点が最大の要因かも知れない。
まあ、好みの問題でしょうけど。
この手のアイルランド紛争を描いた映画だったらニール・ジョーダンの『クライング・ゲーム』や『マイケル・コリンズ』の方がずっと面白いと思う。あちらの方が映画的に躍動感があって娯楽性も高いし。同じ題材でも監督によってここまでアプローチが異なるのか…と唖然とする。
主演のキリアン・マーフィーが凛々しいアイルランドの青年を好演しておりそこは良かった。彼の演技力によりスコア加点。