麦の穂をゆらす風の作品情報・感想・評価

「麦の穂をゆらす風」に投稿された感想・評価

shin

shinの感想・評価

4.2
キリアン・マーフィ目的で鑑賞
アイルランドの歴史に興味を持つきっかけになった。アイルランドの独立戦争から内戦。面白いぐらいに分かりやすく歴史を知れた。
アイルランド人への非道な暴力による弾圧と支配を進める英軍。
そんな英国からの独立を志し共に戦う義勇軍/仲間。
そんな仲間との内戦。
まさに "今日の友は明日の敵"

戦争ってどれも今の時代に客観的にみれば善悪付くし「あの国は酷かったんだなぁ」なんて鼻くそほじりながら言えるけど、
戦時中なんて善悪綺麗事クソくらえ、それぞれの正義があって守りたいものがあって個々の "善対善" で戦ってるんだよね。
とにかく最後までやるせなさの溢れる重い内容だった。

戦争映画で女性が尋問/拷問される時、女性の髪の毛が刈られるシーンが割とある。
この映画にもそんなシーンがあるけど、なんで女性の髪への拷問はあんなにも心がえぐられるんだろう。
男が爪を剥がされる拷問よりも見ててキツいものがある。
女性にとっての髪の毛って"顔の一部"って認識があるからかな…少なくとも自分はそんな価値観がある。
髪の毛刈られても痛く無いけど心の痛みは爪剥がされるより痛いんじゃないかと思ってしまう。

ハーリングがメタファーになってたり、キリアン・マーフィ含め主要キャストがアイルランド人で固められてたりと作品への拘りを感じる良作だった!
ケン・ローチの作品はこれが初めてだったけどこの1作だけでも素晴らしい監督なのが分かった。
てかキリアン・マーフィはアイルランド人だったんだね
Baad

Baadの感想・評価

1.9
この映画、見てどうも引っかかる部分があったのですが、鑑賞後BOWシリーズのリバイバルで『非情城市』を見て、当事者ではない立場で事件を描いている監督の、事件との距離の取り方が全然だめなんだな、ということに思い至りました。

あり得る事件の描写と作り手側の価値判断が上手く整理されていないのですね。作り手の視点の入り方に迷いがあるのに描写が平坦なので観客がどう見ていいのか困ってしまう。
制作時点では三人称で描くことは難しい素材を早まって十分に脚本を煮詰めないうちに映画化したような印象を受けました。

そういうつくりの映画であったとしても、観客が、例えば、イギリスなりアイルランドに住んでいて、この映画で描かれている事件の後に起こったことを学校で習ったり、文学作品やニュースやドラマ等で周知している人ならある程度の感想を持つことは可能なのでしょうけれど、専門家でない限り、イギリス周辺の国に住んでいない観客はこの映画には情緒的な感想しか持ちにくいと思うのですけれど、細部を見ると、その感想とは逆の方向へのプロパガンダ色が強いと思われる作品です。

これを映画として国際市場にそのまま出すには作り手の姿勢があまりに不用意な感じがしました。

国際市場に出すなら、語り手が顔を出して語るような形を取った方が良かったような気がしましす。

欧州の人にとっての世界はヨーロッパ大陸の中だけなのかもしれませんから、これでいいのかも知れませんけど、そういう姿勢は私は好きではありません。

(初公開時劇場鑑賞)
1920年からの数年間、イギリスからのアイルランド独立戦争と自治権獲得後の内乱に人生を翻弄されるテッド&ダミアン兄弟を描く。特に弟ダミアンは前途ある医師としてロンドンに赴任予定が現地イギリス軍兵士たちの弾圧や横暴な振舞いに将来を捨てて兄のIRAゲリラ戦に参加する。過酷な拷問にも兄と共に耐え、厳しい訓練を積みテロリストとして兄をも凌ぐ純化された先鋭戦闘員になり英軍の手先の資本家やスパイとなったかつての友を非情に処刑していく所が大きな見所。荒涼とした山岳原野に響く乾いた銃声音。自治権獲得後も徹底抗戦による完全独立で兄との路線対立を生み、兄弟の骨肉を分ける戦いに発展していく…。“北との分離、隷属国の自由への希求” 日本民族にはその経験ないから(支配統治国側)その渇望と心の痛みを真に理解するには距離があり過ぎる。
Kumiko

Kumikoの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

やりきれないアイルランドの歴史
ハッピーエンドはない、戦争だもの
ピーキーブラインダーズでおなじみ、スーツにハンチング姿のキリアン氏がみられて嬉しい。でもひたすらに辛い。
みゅー

みゅーの感想・評価

3.8
WS-1
ケン・ローチ監督の作品鑑賞は今作で2本目。

「暗くてどうにもならなくて鬱になる感じの映画」を聞いておすすめしてもらった作品。
その通りで、良い作品であることは間違いないけど、寝る前に観る映画ではなかったなぁと後悔。

ただ、日本史とか世界史とか関係なく歴史に疎いので、時代背景をあまり理解出来ていない状態での鑑賞だったので、このあたりを理解して観ればより楽しめる(という表現があっているかは分からないけど)と思う。


拷問シーンは生々しく、想像できる痛み、グロは基本的に苦手なので爪とか想像しただけで私の体から力が抜けてしまいそうだった。

ラストシーンも、これで終わってほしくない…というところでエンドロールが始まり、ただただ悲しかった。


兄弟でも考え方が異なり、対立してしまったりと、時代に左右され生き方も変えざるを得ない状況になってしまうことが辛かった。


✽映画comALLTIMEBEST1200-361
似太郎

似太郎の感想・評価

3.7
全編、迫真のドキュメンタリータッチによる映像。互いに憎しみ合う人間の残酷さと愚かさ。ラストは胸糞悪い気分にさせられる。

しかし、どうも私はケン・ローチ監督の厳格過ぎる演出スタイルにそこまで共感出来ず、まだハリウッド的なハッピーエンドを求めてしまう辺りはいったい何故なのか?

恐らくこの監督が毎回深刻ぶってるだけで映画らしい遊び心が無いから…といった点が最大の要因かも知れない。
まあ、好みの問題でしょうけど。

この手のアイルランド紛争を描いた映画だったらニール・ジョーダンの『クライング・ゲーム』や『マイケル・コリンズ』の方がずっと面白いと思う。あちらの方が映画的に躍動感があって娯楽性も高いし。同じ題材でも監督によってここまでアプローチが異なるのか…と唖然とする。

主演のキリアン・マーフィーが凛々しいアイルランドの青年を好演しておりそこは良かった。彼の演技力によりスコア加点。
ゆき

ゆきの感想・評価

4.0
アイルランド独立戦争とその後のアイルランド内戦を背景に、英愛条約をめぐって対立することになる兄弟を描く。(Wikipediaより)

キリアン・マーフィー主演という事で以前から気になっていた作品。

「拷問シーンが痛々しい」とのレビューをちらほら見かけたので躊躇していましたが、気合いを入れて鑑賞。
結果、拷問シーンは短く不必要なバイオレンス描写もないので、怖がりの私でも最後まで見れました。

無駄なシーンが一切なく戦争の虚しさを描いています。
さすが社会派ケン・ローチ監督。
ただアイルランドやIRAについて興味のない人が観てもあまり面白くないかも。
かなりややこしい内容なので💦

戦争映画を観る度に思うのですが、やられたらやり返す…。
この繰り返しで悲しくなってきます。

アイルランド問題については未だに完全に解決していないようですし、本当にやるせない気持ちになります。

キリアン・マーフィーの青い瞳、今作でも素敵でした✨
ケン・ローチ監督ファンの方必見ですよね。世界史、特に英国史好きな方、お勧めですよ!

私はダニエルクレイグ、この作品の監督が撮った映画と知り、期待値MAXで鑑賞

結論から言うと、私には響いて来なかった… 世界史に疎いから? 
それもあるけど、やはり、生々しい拷問シーンがダメ… その後、観る気が失せて…

なるほど。市井の人々、庶民目線で戦争、戦闘、テロを描いており、新鮮ではある。
兄弟、友人、恋人、隣人。
それぞれの関係性もリアルに感じさせる描写は、確かに秀逸。

しかし、ストーリーがストンと入って来ない…
一般的には名作なのですよね。
これは、私の理解力の問題かな?
adeam

adeamの感想・評価

2.5
イギリスの圧政に苦しむ1920年代のアイルランド人の兄弟を通して、憎しみと暴力が連鎖する様を描き、パルムドールを受賞したケン・ローチの代表作。
イギリス兵を憎き宿敵として強調することで、当時の情勢に詳しくなくとも兄弟がIRAでの活動にのめり込んでいく心情に共感できました。
後半は組織内での内部分裂を描くことで、二人の仲が引き裂かれていく悲劇をドラマチックに見せることに成功しています。
地味ながらも飽きさせないストーリー構成は良かったです。
しかし視点の偏りによってドラマとしての奥深さには欠けている印象で、一方的な描写がかえってメッセージの説得力を失わせている気がしました。
https://cinemanokodoku.com/2021/10/24/muginoho/

「誰も敗者にならない戦い」を映画にしてきたケン・ローチ。それは僕達の目には大抵の場合「誰も勝者にならない戦い」と映ります。
過酷な戦いを生き抜き、束の間訪れた平穏の先に結局は再び殺し合わなければいけなくなった同胞、兄弟。あまりに辛くて重くて救いのない映画だと。

でもケン・ローチは人を不安や絶望に陥れ、安易な問題意識や同情を煽るような無責任な映画監督ではありませんでした。

「マイ・ネーム・イズ・ジョー」で主人公の背中にそっと添えられた手
「SWEET SIXTEEN」で途方にくれる少年に話しかける姉からの電話
やはりこの映画でも最後のシーンにはケン・ローチならではの究極の希望が込められていました。

自らが手にかけた弟の手紙を弟の妻のもとに届ける兄
「誰と戦うかはすぐ分かる。何の為に戦うかを考えろ。」
この映画の中で最も力強いこの言葉を彼女に届けるために彼は彼女のもとを訪れたのでした。
泣き崩れ、兄を責める妻と立ちつくす兄。

戦争を疑い、平和の訪れが未だ遠い先だと語りながら、愛する人の幸せと未来の平和を切々と祈った手紙。決して逃げることなく兄自身の手で届けられたこの「究極の希望」には、戦う映画監督ケン・ローチの覚悟をも見ることが出来ました。
2007年03月22日18:46
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