かきぴー

麦の穂をゆらす風のかきぴーのレビュー・感想・評価

麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)
3.6
「こんなもんか」と舐めてた前半、後半からやっとテーマが浮き彫りになってきて「これがやりたかったんか!」と興奮。結果観てよかったです。

前半の「始まりから休戦」は良くも悪くも普通。確かに、徹底的に自由を剥奪されたもの達が奮起して戦う背景は身に染みてわかった。そりゃ戦うしかねえよな。

ただ、戦いが始まってからは「え、これで勝てる?」「あ、わりと簡単に撃ちますね…」と序盤が現実をしっかりと描いていたからこそ少し非現実感を感じた。

ただ、休戦してからはかなり興味深い展開だった。休戦の条件として提示された条約は「自由を勝ち取ったのかどうかなんとも言えない曖昧なもの」であり、一心同体だと思っていた仲間達との衝突が始まる。
つまり、右派の中での右と左のハナシと言えばいいだろうか。これが現実!と言わんばかりの「どっちが正解かわからない感」に包まれる後半である。

個人的に気に入ったのは、前半に抱いていた「それって綺麗事じゃない?」みたいな疑問を後半でフリとして「綺麗事じゃ終われない!」と見せてくるところ。
これは深読みかもしれないが、前半で味方が死ぬ場面は悲劇的に描いてるのに対し、敵兵を殺す場面はかなりあっさりと描いていて「そうじゃねえよ!」と思わせるところがうまいと思った(多分狙ってない)。

あとはこの映画の<救い>だけど、「テディが逃げずに自ら手を下し、恋人に伝えに行く」ってのでいいのかね?ようわかりませんわ。感覚的には悲しく終わった印象。

なんか、後半ばっか褒めてるけど前半も悪くないのよ。ただ、私の印象としては良くも悪くも普通。
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