らく

美しき冒険旅行のらくのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
4.4
何と言葉で表せばよいのか難しい作品。しかし胸にずっしり残るものがある。

唐突な父親の奇怪な行動。自然界に放り出されることとなった姉弟。

砂漠で彷徨う姉弟とそこで出会ったオーストラリアの原住民の青年。
青年が動物を狩り、姉弟の命を救ってくれた。言葉は通じなくとも心を通わせることはできる。美しい大地と自然界の厳しさ。自然回帰。そんな心暖まる話。
…ということだけではないのがこの映画の深いところだ。
求婚のダンスをする青年。それを気味悪がる娘。
全く違う境遇にいる者同士が理解し合うことはやはり難しいことなのか。
なんとも切なかった。

そして映像の美しさ。
なんでもないようなハエに意識がいってしまう。自然で生きる動物達のたくましさと、死骸になってハエやウジにたかられる残酷さの対比。
娘が湖を泳ぐシーンの素晴らしさには息を飲む。
青年が目撃した、銃で動物を殺すシーンも衝撃的。動物目線で描かれているようにも思える。
アンドレイタルコフスキー作品を彷彿とさせられる。

今の私達では決して手に入れることのできない尊いものを魅せられた。
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