よしやま

黒い家のよしやまのネタバレレビュー・内容・結末

黒い家(1999年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

原作の好きだった要素があらかた抜け落ちてて残念だった。初見だと多分普通に観れる。

個人的に残念だった点

1.犯人の性格
原作の「情勢欠如・抑制欠如・爆発性性格の3つを兼ね備えた背徳症候群 最強の犯罪者予備軍」という所が凄く不気味でよかった。
心が無く、全く抑えがきかず、直ぐに怒りが爆発する。
最後まで姿を表さず障害のある夫を操り、異常な執着で主人公や周りの人を殺そうとする不気味なおばさんが見たかったのに、映画ではただ無感情で飄々と人を殺す、性欲の強い大竹しのぶだったので残念だった。常軌を逸した怒りと執着は描かれておらず、ステレオタイプのサイコパスって感じで重みが無かった。ちょいちょい出てくるボウリング好きの要素、オチに使ってたけど弱過ぎるしなんだあれ

2.不穏な空気の演出
ホラーの何が楽しいかって、序盤で「何かがおかしい…」をどんどん積み重ねていって視聴者を不安にさせ、後半で一気に不安が現実になるジェットコースターみたいな感じだと思う。

主人公が犯人の異常性を少しづつ知っていき、「もしかしたらとんでもなくヤバい奴なのでは…?自分にもその牙が及ぶのでは…?いやまさか、」堪らなく不安になりどんどんやつれていく。逃げたくても会社の仕組み上逃げられず、警察に説明しても相手にしてもらえずどんどん状況が悪化し、最悪の結果に…!!

この流れが最高だったのに、映画ではただ何が起こってるかの説明を淡々としながら犯人が感情無いですよ〜みたいな説明的な演技を挟み、そして予想通りな感じで主人公を襲い始めるから退屈でしょうがなかった。犯人も最初から普通に出てきてるから分かった時の驚きや気持ち悪さも皆無だったし、説明的過ぎた。

3.最後の狡猾な知能犯との壮絶な心理戦がめちゃくちゃ省略されてた

1番残念だった。
ほぼ封鎖された8階建てのビルで、主人公は真ん中の階に。犯人は1階から来ている。
防火扉のせいで主人公の逃げ道は限られている。
エレベーターが登る音が聞こえる。
犯人は上に上がったか?それともブラフか?
このまま正面突破で下から逃げるべきか上に登って非常階段から降りるべきか?
心理戦の後に揉み合いになり、腕を切り落とされるも、幸運にも傍にあった消化器でなんとか犯人を殺す…

この手に汗握るバトルが最高に面白かったのに映画では、心理戦全カットでいきなり後ろから犯人が近付いてきて揉み合いになり、謎の「乳しゃぶれ!」みたいなくだりがあってからまた揉み合い。主人公は何故か犯人が持って来てたボウリングの玉で犯人を撲殺。
おいしい所が全部カットされて意味わからんリメイクされてて残念だった。

4.オチ
原作では、「サイコパスとは」みたいなことを悶々と考えてしまうようになった主人公が
また保険金詐欺の疑いがある客が来て、「こないだのと同じようなヤバい奴はまだまだいっぱい居て、こいつもそうなのかもしれない…」
となって終わる、最高に後味の悪い終わり方だった。
映画では同僚にボウリング誘われ、機械の穴からボウリングの玉が飛び出て来るのを見てこないだの犯人を思い出し「ヒエ〜!!」となって終わる。意味がわからない。

サイコパスがまだまだ潜んでいるかもしれない、もしかすると目の前のこいつも…?
という気持ち悪さが良かったのに何でこんなしょうもないオチに変えたんだろう
よしやま

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