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黒い家のTKEのネタバレレビュー・内容・結末

黒い家(1999年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

内野聖陽・大竹しのぶ主演のホラー小説原作映画。
怖い怖いと聞いていたのでようやく鑑賞。これはホラー映画なのでしょうか?サスペンススリラーといっていい気もします。


主人公である若槻慎二はややお人好しな保険会社の査定担当。
ある日会社に「自殺の場合でも保険金は貰えるのか」と匿名の女性から電話がくる。
「状況や状態によって受け取れるか変わる」と伝え、自分の名を教えたところで電話は切られてしまう。

後日、保険手続きで不手際があったと菰田重徳という男の家に呼び出されるが、そこで彼の息子が自殺しているのを発見してしまう。
また、重徳の妻が匿名の女性であった菰田幸子だったことも発覚し、執拗に保険金の支払いを迫る2人に疑問を持った慎二は独自に2人のことを調べていくが、そこから慎二を含む周辺の生命を脅かす出来事が起こり始める。


夫婦が揃って怖すぎるし気持ち悪すぎます。
幸子を大竹しのぶ、重徳を西村雅彦が演じているのですが、それぞれ違った嫌悪感が凄いです。

最初は重徳がサイコパスで、幸子の連れ子である息子を殺したとミスリードさせてきますが、何せ初っ端から幸子が醸し出している空気がヤバすぎて、見てる側としてはどう考えてもヤバいのは嫁の方だろ、と分かってしまいました。

まあ、正確にいうとどっちもヤバいです。


とにかく幸子は事ある毎に殺人を犯しているようで、自宅の地下には元旦那の遺体以外にも複数人の白骨遺体が転がっていたり、大人の男性を10日間もの間監禁・拷問したりとやることがえげつないです。

この辺が結構グロ目なので、苦手な人は凄い苦手かもしれません。

いかにもな心理学で「この人には人の心がない」と言われてしまう幸子ですが、実は子供の頃から母親による虐待により保険金を得ていたことが明かされます。
だからといって全然同情できないんですけど。


幸子の目的は保険金を得ることのハズですが、段々とそれを妨害する慎二と周りが標的になっていきます。
非効率だし幸子に全く得は無いのですがそこがサイコパス、そんな損得ではなく思いつくがままに行動します。

黒目のままナタを振り回すシーンは圧巻でした。

そして、最後の名(迷)シーンの「乳しゃぶれ〜っ」は本当に意味が分からなかったです。
唐突すぎるし脈絡もないし、あまりにもな展開に恐怖通り越して笑うしかなかったです。


総じて、演者さんの演技は素晴らしく、追い詰める側も追い詰められる側も緊迫感が凄かったです。
ただ、演出というかカメラワークがところどころ自分と合わないところが多く、見ていてしんどかったところもあります。

また、グロ描写故に一瞬しか映せない事情は分かるのですが、誰が何をされたのか分かりづらいところがありました。
流れ的にも「なんでこの人やられてるの?」という状況だったので、余計に分かりづらかったです。

この映画の翌年に類似事件が発生したというくらい身近な話なんだということを考えると、その事実が1番怖い気がしました。
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