※この作品はある程度どんな作品なのかを知ってから観ることをオススメします。
小津監督について語るのかなぁとちょっと誤解をしていた本作。
すすめてもらっていたもののキアロスタミ監督作品にはまだ触れたことがなかったので、普段なら初見を大事にするんだけど何となくどんな作品なのか探ってみたら…
『5つのシーンでひたすら風景が流れる映像作品』と言うではないか!
ちょっと不安になりつつも、小津愛を探しに足を運んだ。
結論から言うと、私にとっては人には無理にオススメはしない作品かな。
家でなら75分耐える自信がない…悪くないし、小津を感じると途端に愛おしくなるんだけど…うーん。個人的にはキライではないし、数日経つとどんどん良く感じてしまっているのですが、「キアロスタミ」と「小津」に引っ張られている気がするなぁ。
この作品の小津感は、この空も海も歩く人も何もかも二度と同じじゃないってことかな。禅の世界というか。
私は観ている間、無になれず煩悩だらけになってしまったけど、前日に由比ヶ浜の海を見たとこだったのでなんだかちょっと嬉しくなった。そう言えば、小津監督のお墓には「無」って刻まれているんですよね。
静寂の中や日常の中にある奇跡。
セリフも音楽もなく、ただ波の音や雨の音、いきものの鳴き声が響く。
『何でもないものも二度と現れない故にこの世のものは限りなく貴い』という小津監督の言葉がぴたりと当てはまる。
旅の帰りに「老いの流儀 小津安二郎の言葉」を読みながらニンマリしてしまったけど、もっとわかりやすいタイトルにするなら、『海』とか『時の流れ』とかになる気がする。
何かで、はじめは小津を意識せずに撮ってタイトルを後から付けたって見た気がするんだけど…ソースはなんだったかな…知ってる人がいたら教えてください‼︎
『世の中なんて、みんな寄ってたかって複雑にしてるんだな、案外簡単なものなのにさ』
❁余談❁
先日観た、「シルビアのいる街で」のゲリン監督のインタビューを見たのですが、本作を観て『登場人物さえいらないんじゃない?』って思ったそうです。
確かになんか通じるものがある。
タイミングが合ったのがちょっとおもしろいなぁ。