南森まち

ゴースト・ドッグの南森まちのレビュー・感想・評価

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)
3.8
現代のNYの武士に憧れる殺し屋。マフィアの幹部の指示どおり、ボスの娘の彼氏を始末するが…というお話。

最初はブシドーかぶれの主人公を笑う映画だと思っていました。しかし、後半はマフィアの戦いが真剣に描かれ孤独の中一途に生きる主人公に泣けてきます。

シーンが変わるごとに、「武士の生き様」を表す「葉隠(はがくれ)」の引用が出てくるのですが、これがいちいちカッコいい。
そして、主人公の境遇にマッチしているため、まるで葉隠のプロモーション映画のようだった。

この映画は日本人や武士道に憧れた人にしか感じ取れない「何か」を受け取れます。わたしはこの映画をみたあと、急いで書籍版の「葉隠」を買いました。

内容はマフィア社会を舞台にした西部劇や時代劇のような悪漢物なんだけれど、時々挟み込まれる葉隠の演出によって、まったく違う味わいになる。
そりゃ、武士道が世界中でブームになるわけだわ…

というわけで、映画としての採点は3.1ぐらいだけど、日本人として「武士の生き方」を学べるので個人的にはこの点です。
今や日本人も読んでない「葉隠」をもとに、人生の生き様の美しさと儚さを見事に描いています。

武士道は、今でも日本人の行動原理や考え方に根付いているはず。
オススメです!