すずす

真珠のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

真珠(1947年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

メキシコ人監督がメキシコの寒村を舞台に描く、若い夫婦の夢と挫折のドラマ。全篇スペイン語。

原作はスタインベック。製作はRKO。
この後、赤狩りの風が吹き荒れる戦後ハリウッドを考えると、オーソン・ウェルズ監督『イッツ・オール・トゥルー』同様に、アメリカ政府が北中米や南米の宥和政策の一環で資本投下したのではないかと推察されます。

華やかな花火を駆使した祭の場面が見もので、空、海、自然の撮影は見事です。ヴェネチアの金獅子です。

以下は物語。

メキシコの寒村。シケ続きで人々の気分が優れない。
漁師のキノと妻ジュアンの赤ん坊がサソリに刺され、町の医者に駆け込むが、真珠を愛する金満の医者は金がない原住民を人間扱いしてくれない。
キノはナイフを海底に落とし、深く潜っていくと、美しい巨大な真珠を見つける。噂を聞いた村人が子供の服などを売りに来る。村人はキノに酒を飲ませ、奪おうとする者もいる。あの医者も真珠を譲ってくれと云う。

キノは町のバイヤーに売りに行くと、バイヤーに高い価値はないと買い叩かれ、売ることができない。
2人は赤ん坊を連れ、船で村を出ようとするが、シケで座礁してしまう。
すると、馬に乗った男と2人の原住民が彼等を追って来る。川を渡り、砂漠を越えても、彼等は追跡をやめない。靴もない妻ジュアンの足は血まみれ。
遂に、闘うしかないと、キノが馬に乗った男の背後を取った時、馬の男のライフルが赤ん坊を射抜いた。
2人は傷心し村に戻る。そして、崖の上から真珠を投げ捨てるのだった------

物語は、ネオレアリズモなタッチというか、黒澤明の描く戦国時代のドラマにも似ている気がします。

渋谷tsutayaにて駆け込みレンタル。
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