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最後の初恋のodyssのレビュー・感想・評価

最後の初恋(2008年製作の映画)
3.5
【たまにはこういう映画もいい】

ロードショウには迷った挙句行かず、後日BS録画にて。

日本語版のタイトルには賛否両論あるようですが、私は結構いいんじゃないかと思いました。恋をして、その後相手にどう振舞うか、必ずしも経験が物を言うとは限らないんですよね。人間、恋をすると不器用になるし。だから中年の恋だろうが既婚者同士の恋だろうが、「初恋」でいいんじゃないかと。セカンド・ヴァージンという言葉みたいなもので、目くじらたてることもない。

言うまでもなく、こういう映画は主演男女が中年でも外見上魅力的である必要があります。そして何しろ映画ですし(笑)その点にぬかりはありません。中年でもハンサムなリチャード・ギアと中年でもキレイなダイアン・レインの組み合わせです。

リチャード・ギアはお医者さん。ダイアン・レインは家庭的な主婦ですが、芸術的な才能も実はあるという設定。ここも非常に典型的です。これが、男は会社をリストラされて食い詰めていて、女はバリバリのキャリアウーマンだけど暇なし、というのでは話が始まりません。

二人が出会うペンション(?)の立地がすごい。砂上楼閣という言葉がぴったりで、ハリケーンなんかが来た日には大波であっという間に崩壊してしまいそう。天気のいい日ならともかく、ハリケーンの来そうな時なんかだと私なら絶対ああいう宿には泊まりませんね。でも、この映画ではそれがかえっていいんじゃないでしょうか。あり得ない宿でこそ、あり得ない恋は始まるのですし、砂上楼閣で始まった恋だから何となくはかない結末になるんじゃないかという予感もしてくるし。

中年男女は二人とも家庭の悩みを抱えていますし、男はそれに加えて仕事上のごたごたも抱えている。でもそれは刺身のツマ。中年美男美女の出会いをいろどる装飾に過ぎないのです。

以上のように書いてきてみると、この映画を否定的に評しているように思われるかもしれません。そうじゃないのです。この映画はたしかに典型的で、臆面もなく、マジメにハーレクイン・ロマンスをやっている。私はその臆面の無さを買います。たまにはこういう映画だってあっていい。現実には私はリチャード・ギアではないし、ダイアン・レインみたいな中年美女も近くにはいません。でも時にはこういう映画も見たくなる。仕事の後には無理な娯楽に興じるよりぼおっとして過ごしたほうが疲れがとれますよね。そう、これは生きてる疲れがとれる映画なのです。ぼおっとして何も考えずに見ましょう。

60点でいいかとも思いますが、中年ダイアン・レインの魅力に敬意を表して10点オマケ。
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