KANA

招かれざる客のKANAのレビュー・感想・評価

招かれざる客(1967年製作の映画)
3.9
 
以前観てるけど改めて。

1960年代サンフランシスコ。
白人の中流家庭の娘と黒人医師との恋がもたらす周囲の困惑・・

これは人種差別そのものとかアメリカの良心というより、親が子を思うが故の愛・普遍的な親心をとてもセンシティブに描いた作品だと思う。

肌の色なんかで差別すべきでない、なんて理性は皆すでに持ち合わせてる。
でもいざ我が身に降りかかるとどうか?
ピアプレッシャーに耐えられるほど個々の人間は強いものではなく。。
ましてその時代に。

登場人物に悪人は1人もいない。
だからこそ、それぞれに共感できる。
特にジョアンナの父親マット(スペンサー・トレイシー)のリベラリストとしての葛藤、
そして婚約者ジョン(シドニー・ポワチエ)の浮つかず現実的で節度のある物腰。
母親としてはクリスティーナ(キャサリン・ヘップバーン)の気持ちも痛いほどわかるし…
Kヘップバーンの颯爽としつつ包み込むような母親像がとても好き。
両家の親も揃って(+仲良し司教)からの互いの忖度加減も素敵…ピリッとしながらも品のあるケミストリーで。

夫婦のドライブインのシーンはちょっとしたユーモアも。

クライマックス、一堂に介してのマットのスピーチには涙が溢れた…

演出は手堅くて無難すぎるほどだけど、綺麗事を通り越した真心にしっかりと向き合っていて間違いなく良作。



〈note〉
※スペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘップバーンはリアルでもカップルで、9本も共演していた。
そしてSトレイシーは本作の撮影が終了した17日後に亡くなり、これが遺作となった。
銀髪と黒縁メガネが似合っててとてもカッコいい!

※シドニー・ポワチエは再婚相手として実際に白人女性と結婚する。
それがジョアンナ・シムカス。本作での婚約者も"ジョアンナ"。

※ジョアンナ役キャサリン・ホートンはキャサリン・ヘップバーンの実の姪。
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