あでゆ

007/慰めの報酬のあでゆのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
3.2
◆Story
愛する人を失ったジェームズ・ボンドは、彼女を操っていたミスター・ホワイトを追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーンが南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。

◆Infomation
イギリスの諜報部に属するスパイ、ジェームズ・ボンドの諜報活動を描く人気スパイ・アクションのシリーズ第22弾。前作のエンディングから続く本作では、任務と個人的な復讐の間で葛藤するボンドの姿を映し出す。監督は『チョコレート』のマーク・フォースター。ボンド役をダニエル・クレイグが続投し、『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリックが悪役で登場する。世界でロケを敢行したスケール倍増のアクションに圧倒される。

◆Review
「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に向けて復習として視聴したのを記録。
「カジノ・ロワイヤル」に続くクレイグ・ボンド第二作。
従来のスタイルと異なり、物語は前作から地続きに繋がっているため、しっかりと話を追いかけていなければ理解できないだろう。
まず、ざっとした感想としては、劇場で見た時の印象よりも思ったより良いというものだ。

ジェームズボンドは前作のボンドガール、ヴェスパー・リンドの影を追いかけている為、新しい愛に燃えることはない。そうした難しいバックグラウンドの中で新たに描かれるボンドガールは、意外にも新鮮な仕上がりになっている。
というのも、本作のボンドガールのオルガ・キュリレンコはあまり印象の強いキャラクターではないものの、スポーティで凛とした姿が美しく、これまでよりもボンドと対等に描かれていて興味深かった。

バックボーンの影響であくまでも自然とラブシーンが無く、これまで以上にバディとしての共闘感が強めに設定されていて、新しいボンドを描こうという痕跡が見えたのは面白い。
ボンドガールの描き方だけでなく、「ボンドが通ると人が死ぬ」という根本的な問題にテーマを据える作品にもなっており、このクレイグ・ボンドサーガが、これまでのシリーズ作品への自己言及と再批評を行おうとしている姿勢が伝わってくる。

とはいえ、志は高くてよいのだが、作品自体のクオリティが高いかと言うとそうとも言い切れない。
話運び自体が非常にややこしく、全体を通して誰が何を何の為に行なっているのかを読み解くのが困難だ。これは脚本家協会のストライキによる影響と言われているが、それにしてもまとまりがないように思える。
また、アクションシーンは2010年代ごろに流行った、ボーンシリーズに影響を受けた寄りのカメラで撮影したチャキチャキ編集となっていて何が起きているかわからない。
あでゆ

あでゆ