Nobukyouju

007/慰めの報酬のNobukyoujuのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
4.4
一連の再鑑賞ツアーの一環。

いやーやはり面白い。
この作品はクレイグボンドで1番地味的に扱われているがやはりカジノロワイヤルでの成功を受け、よりアイデンティティーを増したクレイグボンドにシフトチェンジした端境期のちょっと役回り的には損だが重要な作品だと再認識。

小刻みに繰り返されるアクションシーンはよりリアリティを増して香港映画やボーンシリーズの影響も感じられる。
最後の裏切り者に会いに行くシーンなんかクリソツやからね。
ラストのホテルのシーンも素晴らしいし、監督調べたらでもこの作品以外大したことないじゃん!
トムクルーズの映画あたりで学んできたとばかり思っちゃいました。。残念。

とにかくこの作品を持ってクレイグボンドは方向性を見出し、ディテールの部分は一部完結させつつも全体像へ走り出した。あくまでこのストーリーが大きく骨太にあることがクレイグボンドが今までのシリーズと一線を画して、映画として格式のある、奥行きのある存在感に繋がったと言える。
ボンドが自分の信念を大きく通していくという全体を通してのキャラクターも確立された。
今回の作品のテンポに合わせるようにちと激しく突っ走るのですが。
ここらは他のコメでストーリーが悪いという指摘があったので非常に分かりやすく補足しました。ストーリーって与えてもらう物と思い過ぎなんですかね?
プラス目の肥えた観客が許さない本物のアクションシーン、俳優陣の演技、世界中を旅するような素晴らしいロケーションも大きくアップグレードし、ストーリーを支える。
マーケティングの賜物なのかもしれないが、それよりもそういう良い物を今までを超えて作りたいと考えた新しい製作陣の情熱だと思いたい。
そういう情熱が今日本人にはどの産業にも足りない。

部分的にはマティスの台詞がいちいち染みるのと(今風のイケオジなんて下らない言葉は使いたくないがやはりイタリア人のオッサンは深みとウィットがあるのか?)オルガキュリレンコはかなり存在感がある。
ロシア人なのに有色人種化してワイルドに。でもそこに滲み出る優雅さや気品、女性的な魅力に溢れている。
何故名前が立った役者ばかりに目がいってこういう名演をストレートに評価出来ないのか?
また演技が上手い下手のような話をよく持ち出す方たちもいるがそんなことよりどう作品に深みを与えるか?だ。
ノータイムトゥーダイのアナデアルマスの話をやたらする人。あれはあの作品で唯一のお荷物やからね。
彼女は魅力的な役者だと思うが彼女が話してる時間はほぼ時間の浪費やから。
そんなにビジュアル観たいなら写真集買えよ、と。

後はシリーズ史上最高傑作と言えるテーマ曲。
ホントはこの路線で行って欲しいぐらいで、スカイフォール以降のしっとり路線も否定は無いのでアップテンポの曲とテーマ曲2曲案は如何か?
前作のクリスコーネルも最高だがボンドテーマとしてはこの曲はホントに奇跡のような一品と思ってる。ジャックホワイトの魔法はホント半端ない。

と見どころを私なりにお伝えしました。
Nobukyouju

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