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007/慰めの報酬のあるぱかのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
3.8
前作カジノロワイヤルの最後から1時間経ったところから始まるシリーズとしては異質な二作目。
それほど前作との繋がりが強く、今回は邦題の通り復讐にとりつかれたボンドが復讐の果てに得るものとは何かというテーマがメインになっています。

今作のメガフォンを撮ったのはマーク・フォスター。人間ドラマばかりでアクションは初の監督だそうです。確かにボンドの苦悩の部分が色濃く出ているように感じました。"ヴェスパー"を飲んでる時とか切なかったですね。
アクションに対する意気込みは作品を見れば一目瞭然で、人間ドラマが得意な監督なだけあって詰め込みすぎかもというくらいこれでもかって要素が含まれています。
政治色もみられましたし。

ダニエルボンドは寡黙でクールなので、彼が復讐に燃えるといっても内に秘めるメラメラでしたが、今作は所構わず殺していました。周りからも言われる始末で、まさに近づくもの全てが死ぬ死神のような存在。
しかし、マティスを始めカミーユ、M、そしてヴェスパーの存在が彼の復讐の炎を消した。マティスのよき理解者であるキャラがとても好きだったのでかなり残念ですが、彼の存在が今作のドラマを重厚なものにしたように思います。

前作でヴェスパーに脱がされた甲冑を再び身に纏い、彼にとっての愛の象徴であったネックレスを捨て、感情に左右されない007が誕生したのですね。
クールでカッコよく終わる007ではなく、生々しくて濃厚な人間ドラマを混ぜて深い余韻を感じさせてくれるラストでした。
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