狂気などでは生温い
緒形拳演じる榎津巌という男は狂気や狂ってるなどで表すには妥当では無いと言える。彼は正常であり、元々の性質がかなり狂っているのだ。今で言うサイコパスという奴だろう。
いくら1960年ほどを舞台にして作られた映画だとしても日本という国は亭主関白が過ぎるし、人として荒々し過ぎると感じる。ある意味異常な国だね。ショーン・コネリーが007でお洒落に決めてる中、日本ではこんなに荒々しい現実があったのかと思うと驚き。
映画自体は1979年公開であるが、それまでにかなり揉めたことでも有名な映画。原作の佐木隆三さんの軽薄さが揉め事に繋がるのだが、口約束はしない方がいいね。
内容としては彼が死刑に至るまでどのような事をして、この犯罪遍歴を作り上げたかと言うことだが、緒形拳の荒々しい演技とぶっきらぼうな物言いが完璧にハマっていて最高でした。
監督候補に深作欣二監督が居たみたいだが、そちらも見たい気がする。ですが、荒々しくなり過ぎて過激ながらも静謐な雰囲気が失われるかもしれない。『その男、凶暴につき』で北野武が白竜にわざと手を出させようとするシーンで感じた静かさに感じる恐怖というものがこの映画にもあって良かった。
倍賞美津子は今でも現役で若い頃は初めて見ましたが、今で言う黒島結菜ちゃんみたいな顔で可愛かった。