がちゃん

レッズのがちゃんのレビュー・感想・評価

レッズ(1981年製作の映画)
3.5
ロシア革命を描いたジャーナリスト「世界を震撼させた十日間」で有名なジョン・リードの半生を描いた物語。

製作・脚本・監督・主演は「俺達に明日はない」のウォーレン・ビーティー。製作準備期間15年、撮影2年、制作費80億円(当時)を投入した超大作。

ウォーレン・ビーティーがソ連旅行をしたときに、ジョン・リードをよく知る女性と知り合い、その生涯に大いなる興味を持ったのが映画化のきっかけだったそう。

ウォーレン・ビーティーは、片っ端からジョン・リードと関わりのあった人物にインタビューをして廻り、劇中にも歴史の証人として登場させ、ロシア革命をセミドキュメンタリー的に再現させています。

その歴史に翻弄される主人公と、作家志望の進歩的思想の恋人。
国境を越えたラブストーリーが歴史的革命に絡んで展開します。

第一次世界大戦が始まり、作家を志すルイーズ(ダイアン・キートン)は特派員となる。
リードはロシアに行って1917年の十月革命を目撃し、米国に帰国して社会党の革新に乗り出すがはじき出され、今度は共産党一派のリーダーとなる。

そして再び苦労してロシアに入国するのだが、改革主流派とは言語の違いもあり、思想の相違も相まって失望することが多い。
やがて、全世界的に社会主義革命の風が強くなっていき、自由主義政権である母国から、リードは危険思想主義者のレッテルを貼られてしまう。

弾圧は、恋人ルイーズにも迫り・・・

と、書くと壮大な歴史ロマンを期待してしまいそうなんですけど、主軸はリードとルイーズの恋物語。

そして、当時のアメリカの社会情勢やロシア革命についてのある程度の知識がないと分かりにくい場面が多いです。

確かに、革命のシーンなどはものすごく迫力があり見ものではあるのですが、前述した歴史の生き証人たちの挿話が映画のテンポを壊してしまったのが残念。
そして、ストーリーも浅くて主人公らの心情に思いをはせるまでにはいかなかった。
史実を基にしているから無理はないのですが、ドラマ的には平凡。
(史実のほうがドラマチックなのが皮肉)
その展開の弱さをスペクタクルシーンで補おうとしているのですけど壮大さまでは感じない。それなりの物量があるのにそう感じられないのは、監督としてのウォーレン・ビーティの力量不足か。

共産主義を賞賛した作品ではありません。
ジャンル分けしたら、ラブストーリーに分類されるべき作品なんでしょう。

この年のオスカーでウォーレン・ビーティーは見事監督賞を受賞しましたが、作品賞は、「炎のランナー」 が持っていきました。
下馬評では、本作か、『黄昏』でした。

当時期待して観に行ったんですけど、自分の歴史に対する知識の浅さで面白さはイマイチでした。
ただ、社会主義も民主主義も権力者たちの権力抗争は、一歩離れた第三者の立場からみれば、サルのボス争いと変わらないという印象は残りました。

でも、とてつもなく力の入っている作品には間違いいありません。
また、観直して見てもいいかもしれませんね。
がちゃん

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