デニロ

影なき殺人のデニロのレビュー・感想・評価

影なき殺人(1947年製作の映画)
3.5
学生時代。早朝、わたしのアパートの部屋を叩く者がいた。面倒くさいなぁと思っていると、友人の声がわたしの名を呼んだ。開けて話を聞いてみると警察に逮捕されて今まで調書を取らていたそうだ。友人3人で飲んだ後ブラブラ歩いているとそのうちのひとりが放置自転車を見つけそのまま引いて歩いていたところを職務質問。自転車を見つけた当人は某県警に就職が決まっていて、おまけに父親も同県警の幹部職員。もはや虚脱状態。見かねたわたしの友人が、よせばいいのに他のふたりには部屋で待てと鍵を渡し身代わりとなり連行され調書を取られたのだそうだ。

そんなしょぼい案件にも調書を取る警察はなかなか規律的で頼もしいがその内容は、警官が思いつくままに状況を描き出し、そうだろ、と念を押しながら記していったそうだ。落ちていた自転車を只拾っただけなのに、その動機までかんがえてくれたとのこと。最後に深く反省しています、とか書かれて終了。自分の部屋に戻るとふたりが布団を敷いて眠っているのを見て激怒し、お前のために身代わりになったのに眠りこけるとは許せん、と追い出し、わたしのところに管を巻きに来たということだった。

成り行きに任せて県警なんて棒に振らせればいいのにとわたしは思うのだが、ええかっこしいなのか、感情の量が多いのか、そんな風にはかんがえなかったようだ。

調書を取る警察官の室によって事件はいかようにも作られるということで、検察官もそのことには十分留意して頂きたいものです。

1946年製作公開。原作アンソニー・アボット 。脚本リチャード・マーフィー 。監督エリア・カザン。
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