みおこし

ハワーズ・エンドのみおこしのレビュー・感想・評価

ハワーズ・エンド(1992年製作の映画)
3.4
ジェームズ・アイヴォリー監督作品鑑賞中。

舞台は20世紀初頭のイギリス。マーガレットとヘレンのシュレーゲル家の向かいの家に、ウィルコックス家が越してきた。かつてのトラブル以来両家は気まずい関係だったが、マーガレットは先方のルース夫人と仲良くなる。しかし、彼女が亡くなった際の遺言に"ウィルコックス家の財産である別荘ハワーズ・エンドの相続権をマーガレットに譲る"という記載があったことから、次第に運命の歯車が狂ってゆく...。

『眺めのいい部屋』に比べると比較的シリアスなお話でした。そして、どんどん悪い方向に物語が進んでいってしまう展開がとっても悲しい...。
キャストも個人的にはアイヴォリー組(笑)の錚々たるメンバーが勢ぞろいでツボ。アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ジェームズ・ウィルビー。やはり舞台演劇で鍛え上げた俳優さんは皆さん特に演技力が抜群ですね...!

とあるふたつの家族が突然ひとつにならねばならなくなる流れは、どの国のどの家庭にもあり得ること。日本人は特に「ウチ」と「ソト」の考え方が強い国だから、きっと誰もがウィルコックス家が直面する問題を目の当たりにしたら、共感できるはず。一家にはそれぞれのルールや絆があるわけで、部外者がその敷居を跨いではいけない時ももちろんありますよね。
個人的には全ての元凶はヘレンにある気がしていて、「あの時こうしなければ...」と思わず募るイライラ(笑)。小さな出来事をきっかけに、まるでドミノ倒しのようにありとあらゆる人と物が巻き込まれていく様子は本当に痛々しかったです。

改めて、こういうコスチューム・プレイでのアンソニー・ホプキンスの存在感は圧倒的だなと痛感...!一家の頼れる大黒柱として振る舞いつつも、実は個人的な大きな闇も抱えているという役柄を見事に演じきっていました。某シーンでの男泣きが強烈。
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