けいすぃー

おいしいコーヒーの真実のけいすぃーのレビュー・感想・評価

おいしいコーヒーの真実(2006年製作の映画)
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会社の目標や自分の実績、仕事のやりがいについて笑顔で語るスターバックスの店長。そんなスターバックスにコーヒー豆を供給するエチオピアの村では人々は貧困に喘ぎ、子供は学校に通うこともできない。

先進国でのコーヒー産業の輝かしさと生産国であるエチオピアでの苦しい状況を交差させることで、南北問題を効果的に見せている。
具体的な数字も登場しており、問題への理解に大いに役に立った。特に印象的だった数字は、先進国が大部分を占める国際貿易の割合を、アフリカが1%その幅を増やすだけで、国際機関から受けている援助の5倍もの額になるというものだ。支援よりも貿易をという意味がよく解った。

ドキュメンタリーの主人公であるエチオピアのコーヒー農家の組合長がその年の利益を地域の農家たちに還元するシーンがある。その金額は微々たるものであるが、農家たちは地域のために熱い議論を交わす。そして満場一致でそのお金を貯めて、学校を建てる費用に充てることになった。
美談でブランディングをして自国の産業を守り、必要以上の贅沢を求め、途上国に対して不当な取引をする先進国の現状に疑問を抱かずにはいられない。

「吾唯足るを知る」を感じる作品だった。
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