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王女メディアのodyssのレビュー・感想・評価

王女メディア(1969年製作の映画)
3.0
【神話の勉強をしてからの鑑賞をお薦め】

古代ギリシャ神話のアルゴナウト(アルゴー号)の物語をパゾリーニ監督が映画化したもの。

しかし作りが独特なので、この映画でアルゴナウト神話を知ることができると思ってはいけません。あらかじめ、アルゴナウト神話について勉強してから鑑賞したほうがよいでしょう。でないと、筋書きがつかめないままに終わる恐れが多分にあります。

私はアルゴナウト神話は知っていましたが、それでもこの映画で進行を把握するのが困難でした。

アルゴナウト神話は、要するにギリシャの王子イアソンが、訳あって黒海沿岸に秘蔵されているという黄金の羊毛皮を奪おうとアルゴー号という船に乗って出かけていき、当地の王女メデイア(この映画のタイトルではメディアとなっていますが、メデイアが正しいよう)の助けを借りて目的を達成するというものです。メデイアは地元を裏切ったわけなので、王子についていき、結婚して子どももできるのですが、イアソンが他の女と関係したことに怒って・・・と展開します。

というわけで、ストーリーを追う鑑賞法には向かない作品ですが、見どころはそれなりにあります。一つは荒涼たる風景の映像。現代から遠く隔絶した古代の異質性が、異星かと思うような風景の様子から、感じ取れるようになっています。

もうひとつは、ソプラノ歌手として有名なマリア・カラスがメデイアを演じていること。ただしこのときの彼女はすでに40代になっていますから、そのつもりで。
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