王女メディアの作品情報・感想・評価

「王女メディア」に投稿された感想・評価

BON

BONの感想・評価

3.8
エウリピデスのギリシャ悲劇を下敷きとした夫に愛を裏切られた妻の壮大な復讐劇。主演はオペラ歌手のマリア・カラス。カラスが長編映画に出演した最初で最後の作品で、歌ってはいないながらも圧倒的な存在感と美しさ。

パゾリーニはこの復讐というテーマを、根源的な形で追求して、自らの作品をものにしており、ギョレメの岩窟教会群のロケ地や、日本やイラン、チベットの音楽が使われており、異国情緒溢れた大セットの映像詩に仕上げている。

戦後間もない頃オペラの国といわれるイタリアで「オペラは滅びる」という声が高まった時、稀代のプリマドンナ、マリア・カラスの出現によって異常な人気を呼び、やがてライバルのテバルディとの人気争いで世界中のジャーナリズムを湧かせ、オペラの隆盛が招来。

その後舞台中断のスキャンダル、荒れた私生活、自身の歌手生命の衰退などの渦中で、カラスファンは当時カラスが本作に出演するというニュースに熱狂し、ローマにカラスを連れてきたパゾリーニの株は上がり、撮影中に喧嘩別れするという大方の予想を裏切ってこの2人の仲は睦まじく、結婚するのではないかという噂まで飛んだらしい。

「カラスの前に、カラスはなく、カラスに迫るプリマはない」

圧倒的なスケールで描かれる荒涼とした舞台に佇むカラスの鋭い眼光に射抜かれた名作。
ぬまち

ぬまちの感想・評価

4.5
素晴らしい作品だった。パゾリーニの中でも個人的にかなり上位の部類に入りそう。

冒頭のコルキスでの「生贄と再生」の儀式の場面からして圧巻だ。生贄の少年が斧で切り刻まれ、その血肉を草木に塗りつける様子を、台詞を排したドキュメンタリータッチで丹念に描いている。ここから一気にこの古代の神話世界に惹き込まれてしまった。

ロケ地がトルコのカッパドキア(死ぬまでに一度は行ってみたい!)やシリアの城塞、音楽が日本の長唄になっていたりとカオス。描かれている題材が、時代も国も超えた普遍的なものであることを示しているようだ。

稀代のオペラ歌手マリア・カラスの唯一の映画出演作らしいが、その存在感は抜群。

パゾリーニは一般的には『ソドムの市』のグロテスクさでもって語られがちだが、こういった優れた作品も多く残しているので、勿体ないことだと思う。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
‪「王女メディア」‬

‪冒頭、東にある国コルキス。
裸の子供と半人半馬の賢者ケンタウロス。英雄、王位返還、黒海、金羊毛皮、アルゴー船、2人の息子、‬ 怨念、コリントス王国、彫刻、樹木と太陽と月、神殿に潜入。今、悲しみの狂乱状態の彼女を映す…本作はピエロ・パオロ・パゾリーニ監督の8作目の長編映画で、オペラ歌手のマリア・カラスを主演にした「アポロンの地獄」でギリシャ神話の世界に挑んだ彼が、再び挑戦した神話もの…本作は冒頭から引き込まれる。ケンタウロスが1人で独白をする。続いて原風景な自然の描写が映り込む。

1人の若い青年が縛り上げられ、メディアのクローズアップが映し出される。ここでとある儀式が行われている事が発覚される。青年は頭に被り物をさせられ裸体に薬のようなものを塗られる。黄色と赤に分けられた色、十字架のように縛り上げられる。そして不意に男がそれを斧で外し、青年の首を真っ二つに落とす。その血を小皿に分け群がる民たち。

ここで様々な民の顔のショットが写し出される…と共にファーストショットの時から流れていた民族音楽が新たに流される。

さて、物語は半人半馬の賢者ケンタウロスに育てられたイアンソとメディアの宿命的な愛を描くと簡単に話すとこんな感じだが、中身はもっと深い。風の音を強調させながら日本民謡の音楽が流れるシークエンスなどはすごく不思議な感覚に陥る。三味線、琵琶の音がこの中世の歴史ある土地柄に案外合っていてびっくりした。ほとんど台詞がなく静寂な中で行われる暴力を映しているが、衣装やロングショットで撮られる海の風景や食文化の描写も印象に残る。

この映画はカラス自身がジョセフ・ロージー監督の「夕なぎ」を拒否し、ドライヤーの作品も拒否し、ジョン・ヒューストンの「天地創造」も拒否し、ルキーノ・ヴィスコンティの舞台の出演依頼も拒否し、パゾリーニの本作の出演依頼を承諾したプロセスを見ると中々凄い依頼を蹴っ飛ばしてきたなと思う訳ですよ…。

しかも映画出演を依頼し続けてきたフランコ・ロッセリーニが提案した本作にカラスは良い返事をしたとの事だった。それにしてもパゾリーニがカラスを一切映画の中で合唱させないと言うのは、彼女のファン向けの作品ではないと言う事は一目瞭然だが、彼女自身も自分がオペラを歌う映画には出演をしないと心に決めていたそうだ。本作品に出演する前に彼女は監督の「テオレマ」と言う作品を見て激怒したそうだが、友人に説得されたみたいだ。

因みに私は大好きだ。とは言う物の劇中で彼女が歌っている場面があるのだが、それはギリシア語での子守唄で赤ん坊の息子に聴かせる唯一のシーンが魅力的だ。それとおよそ20キロ以上はあると思われる衣装や金属類のネックレスの光輝さが凄い。

ロケ地のトルコのギョレメと、ウチヒサールの荒涼と化した風景は正に古代ギリシャのコルキスを彷仏とさせる。今覚えばコルキスはメディアの故郷で、監督は原風景的な演出と魔術を使う魔女を暗示させるような試みをしている。結果はカラスの容姿と衣装が物語っているが…。儀式の最中にはいくつかのシンボリックなものが写し出される。

それにしても「アポロンの地獄」でもそうだが、日本の民族音楽をパゾリーニは好むな。とりわけ近代的なものと原始的なものの対照を表す様々な演出が面白い。賛美歌やギリシャ正教会の奉神礼音楽の使用が瞑想的で不可思議な世界観へと観客を導いてくれる。

余談だが、カラスの最初にして最後の映画出演は本作だが、カラスの相手役を務めた当時20代半ばのジュゼッペ・ジェンティーレは三段跳びの選手で1968年のメキシコオリンピックで銅メダルを獲得した人物らしい。

それとこの映画がきっかけでカラスがパゾリーニに恋をしてしまったと言う可愛らしい話もあるが彼が同性愛者と言うことで頓挫した。

最後に、この映画を見てからでも構わないからカラスのフィルモグラフィをとことん調べて知識にすると良いのかもしれない。彼女の壮大な人生と熟年53歳の間に何が起こったのかを知ると色々と面白い。

‪パゾリーニのマンマローマと愛の会議をまだ観れてないから観たい‬。
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督作品。
ギリシャ悲劇「王女メディア」の映画化作品。夫イアソンと出会い、家庭を築くまでと、夫イアソンへの復讐を二部構成で描く。

荒涼としたロケーションが美しい。はげ山の陰影がすごい。そして城を映したロングショット。最後も含めて火のシーンも良かった。

メディア役のマリア・カラスの顔面力。鼻がでかい。横から顔を映すと彫刻みたい。肢体をいきなり斧でぶったぎるシーンにびっくりした。

時折日本の琴の音とかが使われてミスマッチ感があるけど、それもいい。
粗削りな「アポロンの地獄」はインパクトが強いが、
映画としては こちらの方がまとまっているのでは。
マリアカラスとプラトニックラブ関係にあったともいうが、ギリシャ悲劇と監督独特の美学が結実したパゾリーニの最高傑作だと思う。以降の作品は自身の性癖が前面に出てくるので、パゾリーニは本作まででいい 笑
tonemuff

tonemuffの感想・評価

4.4
エウリピデスのメディアはギリシャ悲劇の中で特に好きな題材で、昔からよく読んでた。

この映画のカオスでチープで東洋趣味的なアプローチはある意味新鮮でめちゃくちゃ面白かった。
マリアカラスの演技もとても良い。もっと色んな映画に出て欲しかった。
maya

mayaの感想・評価

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メディアの話を忠実に再現した映画らしく、儀式のシーンは目を塞ぎたくなるようなものが多かった。
日本のうたや演奏が入っているところに違和感がありつつ、それがまたメディアの感情を表しているようでよかった。
終わり方は驚いた。
寂々兵

寂々兵の感想・評価

2.7
映像美や様式美といってもローマ支配下のギリシャやトルコなどの中近東的な荒涼とした風景に何の魅力も感じないのでただただ退屈だった。異文化の音楽が入り乱れてるカオスも特に何とも思わない。晩年のマリア・カラスを映像に残した功績は大きいが、同じくマリア・カラスにゾッコンだったフランコ・ゼフィレッリが嫉妬のあまり唾棄したのも頷ける。
KICCO

KICCOの感想・評価

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セリフがものすごく少なくて静かな映画。
ひとさじのグロさはあるよね。
でもやっぱり美しい映像。
去年、足立ゼミで観た。1年を通して名作をたくさん観せて頂いた。楽しいゼミだったなあ
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