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ライブ・フレッシュのメルのレビュー・感想・評価

ライブ・フレッシュ(1997年製作の映画)
3.8
フランコ独裁政権末期の1970年マドリードの冬、バスの中で娼婦が男の子を産み落とす。
20年後、成人した彼はドラッグ中毒の女に恋をして警官2人を巻き込んだ事件から男女5人の愛憎劇へ。

ペドロ・アルモドバル監督らしく画面はビビッドカラー満載で、どの画面にも赤が美しく映える。

嫉妬と暴力で情け無い男たちに対して色々な愛を示す女たち。

出産に始まり出産で終わる演出は繰り返される生命の循環の表れで、聖なる母を強調しているのかな…と。

ドラッグ中毒だった女が孤児院の経営者になるのもびっくりだけど、90年代のスペインの厳しい経済状態も垣間見られるのは興味深い。

イギリスの推理小説が原作らしく、銃の暴発の真実が暴かれてからが中々面白い。

殆どを車椅子で演技するハビエル・バルデムは後の大活躍の片鱗を覗かせている。

最初だけ出て来る若いペネロペの出産に立ち会う娼館の女将は、ハビエル・バルデムの実母ピラール・バルデム。
後に家族になる3人はこの作品で既に顔を合わせていたのね、という意味でも一見の価値あり。

時々流れるスペイン民謡の様な歌声がグッと来る。
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