フワッティー

アルファヴィルのフワッティーのレビュー・感想・評価

アルファヴィル(1965年製作の映画)
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ゴダール唯一のSF。銀河帝国の首都「アルファヴィル」が舞台であるが、撮影はパリでのロケとなっている。α60という中枢機械が呑み込むその都市では、涙を流せば処刑される。

主人公レミー・コーションは架空の諜報員から、フォン・ブラウンは科学者から、ノスフェラトゥは『吸血鬼ノスフェラトゥ』から、ヘッケルは哲学者から、などといった固有名詞の流用が多数見られる。人名に限らず、地名やセリフの引用も数えきれない。

ストーリーやアクションでは、ハリウッドのノワール映画やスパイ映画のオマージュが見られる。また、映像表現では、ドイツ表現主義の影響が色濃く読み取れる。判別がつきにくいほどの黒中心の画もそうだが、『吸血鬼ノスフェラトゥ』のネガポジの反転なども終盤に見られる。

ゴダールは膨大な引用を元に何を表現したのか?未来的な設定の中、映し出されたのは過去の文学・絵画などの芸術が活きている様であった。これを踏まえれば、SFの意義といったものが分かってくる。
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