Taiga

太陽を盗んだ男のTaigaのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
3.8
令和時代がもう喪ってしまった自由に溢れ、コンプライアンスをかなぐり捨てた怪作。

プルトニウムを原発から盗み、原爆を手にした理科教師の話。
こんな奇天烈な話を描いた本作だが、数々の70年代を代表する固有名詞を列挙させることにより、そのお伽噺は現実味を帯びてくる…。

太陽の力を盗んだ先は虚無。
国家を転覆させる野望も、莫大な予算を要求する欲望もない。
原爆を手にしたけど、何をしたら良いか分からない。

安保反対のデモや、金に群がる人々を逃走に利用する主人公。
社会に溢れるエネルギーを、ニヒルに冷笑しながら冷え込んだ目で見下ろすジュリーはセクシー。

相対して、社会の忠実な犬として、無骨に彼を追う菅原文太が対比で表現されているのが良い。

ラストで遂に一対一で対決する様は、ファンタジックでエネルギッシュ。

カルト的な人気を博する所以が、ここに伺える。
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