よびちゃん

メメントのよびちゃんのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.0
難解で初見殺しな映画といえばこれ!ノーラン兄弟らしい綿密な構成。切ない傑作だけど渋すぎるので、派手でSFで綿密、ていう自分好みな最近のノーランの作風になってくれてよかったな〜とも思う。妻の幻影、何が現実なのか信用できない主人公、などインセプションにつながる要素も。

初めて見てから3年以上、3回目見てやっと理解した!と思ったので解説がてらレビュー。めっちゃ長くなってしまったが、メメントを見て困惑しながらFilmarksを開いた人には助けになるかも。
【映画の構成】
時系列ではA→B→Cとなるところを、この映画はA→Bと時系列順に進むパート(モノクロ)と、B→Cを逆転して並べたパート(カラー)を細切れに、交互に並べて作られている。映画のオープニング、銃殺と撮影の逆再生がC、その後のモーテルで目覚めるシーンがA、モノクロパートがカラーに変わるシーンがB。二つ折りにした紙の端から折り目に向かって進んでいくような映画だ。

【時系列】
テディの発言を信用した場合です。それが僕にはしっくり来たので。
レナードは保険調査員だった。あるとき詐欺師で独身のサミーに出会った。
自宅に二人組が押し入り妻がレイプされる。レナードが一人を殺し、一人は逃げる。妻は生き残った。事件の後遺症でレナードは前向性健忘になる。
レナードは医師のもとで本能的に記憶する訓練をするが、心因性の記憶障害だからか、苦戦。夫婦生活は荒れ、糖尿病の妻はレナードが記憶障害だと信じられず、命がけで彼を試す。「注射の時間ね」結果、レナードはインシュリンの過剰投与で妻を死なせてしまう。
レナードは苦痛から逃れるため、前向性健忘による妻殺しをサミーの過ちとして記憶しようとし始める。また、自分の妻はレイプ事件で死亡したと思い込む。
事件の担当だった警察官テディはレナードの犯人探しに協力、資料を渡すなどサポート。二人は真犯人にたどり着き、復讐を達成。テディが満足げなレナードの写真を撮る。本編の一年前のこと。
しかしレナードは犯人を殺したことを忘れ、「ジョン・G」への復讐を続ける。テディは彼を利用して麻薬取引の相手を殺させ大金を盗むようになる。

モノクロ
レナードがモーテルで目覚める。テディとの電話で「サミーの話」をする。テディはジミーの話を吹き込む。フロントでテディと落ち合い、廃屋に行きジミーを殺す。この際ジミーのスーツに着替える。

カラー
レナード、テディを怪しく思い問い詰める。テディが真実を話し、レナード激怒。レナードは真実を忘れ、テディを真犯人に仕立て上げ復讐として殺すことを選択。テディの写真に「彼の嘘を信じるな」、ヒントとしてテディのシボレーのナンバーを書き留め、ジミーのジャガーで去る。本編ラストの独白ドライブ。タトゥーの店に到着。
テディ追いつき、服と車を変えるよう進言。テディの写真に「ヤツの嘘を信じるな」と書かれていることに気づき逃走。ジミーの服から出てきたコースターを頼りにナタリーのバーへ。
ナタリーはビールのイタズラを通し前向性健忘を理解。自分の安全のため、レナードを利用してドッド(とテディ?)を殺させる計画をたてる。
ナタリーの家へ。ナタリーはレナードを挑発して殴らせ、家を出る。少ししてから戻り、殴った記憶のないレナードに「ドッドに殴られた。助けてくれ」と言う。ナタリーの部屋を出て車へ。車にいたテディがナタリーを信じるなと助言、モーテルの場所を教えて去る。
モーテルへ。デリヘル的な女の子を呼び、妻の持ち物を使って自宅を再現。妻を忘れる試み?女の子を追い出し廃墟で妻の持ち物を焼く。
モーテルに戻ろうとするがドッドに追われる。ドッドの宿泊先へ先回りし、瓶を武器に待つ。忘れてシャワーを浴びているところにドッド帰宅。彼を拘束、撮影。テディを呼び、寝落ち。テティが来て目覚める。ドッド開放。
ドッドの写真の裏にナタリーのことが書いてあったのでナタリーの家へ。ナタリーの写真の裏にメモ。泊まる。カーナンバーの照会を頼み、待ち合わせのメモをもらって家を出る。
車のエンジンをかけたところでテディに出会い飯屋へ。モーテルの鍵がないことに気付きモーテルへ。フロントのバートが部屋を間違え、カモられていると知る。ナタリーとの待ち合わせ時刻を過ぎていることに気付く。
ナタリーとレストランで会う。カーナンバーの照会結果と廃屋の情報、モーテルの鍵をもらう。
モーテルで情報を確認する。ジョン・Gはテディ。テディに電話。HE IS THE ONE. KILL HIM. フロントのバートと話していると、テディが来る。二人で廃屋へ行く。テディを殺す。

【残る謎】
テディがジョン・Gなのは偶然?
タトゥーの入ったレナードと妻。妄想だよね?
ジミーが死ぬ間際に「サミー」とつぶやいたのは何故?

“I have to believe in a world outside my own mind. I have to believe that my actions still have meaning, even if I can't remember them. I have to believe that when my eyes are closed, the world's still there. Do I believe the world's still there? Is it still out there? ……Yeah. We all need mirrors to remind ourselves who we are. I'm no different.”
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