バナンザ

メメントのバナンザのネタバレレビュー・内容・結末

メメント(2000年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

原題memento[思い出となるもの・形見・記念品]
時間の流れを巻き戻すかのように進むリワインドムービー。

ある時期を境に、短期記憶をすることが出来なくなった主人公レナードが、妻の殺人の犯人を追う異色サスペンス。レナードが記憶をなくすたび、前の場面からの続きが投影されるが、それは時間軸を逆行する形で投影される。主人公は短期記憶をなくしているので、鑑賞者は断片的な情報と人々の関係を頼りに映画を見なければならない。カラー映像はテディの殺人からジミーの殺人に向かって進み、モノクロ映像では、時間軸に従いながら、ジミーの殺人に至るまでの流れが逆行する一つ一つのエピソードの挿絵のように投影される。

ポラロイドカメラで撮影した写真の色が変化するシーンで、実際に白黒だった映像から逆行していたカラーの映像に変わるシーンで違和感を与えない、撮影の技術を感じることが出来る。

この作品をいまだ議論を巻き起こす対象としている原因は、作品の中で何処までが事実で何処までが想像であるかが述べられていないことにある。真実であると言うことは、健忘症になった後の記憶が健忘症前の事実である記憶に影響を与えていることだろう。作品の中では、事実という言葉と記憶という言葉を対比させている。「調査を行うとき、事実の基づきメモを取り結論を出すのが自分のやり方だ」とレナードは述べているが、短期的な記憶を失ってしまうレナードは、記憶に基づいてメモを取って結論を出している。「思い込み」がこの作品を面白くしている一方で、どこまでが思い込みなのか示されていないので、作品が議論の対象となっている。

特に論題として挙げられるのは、①レナードがサミーの話を電話でした相手は誰なのか②なぜテディはレナードの相棒をしているのかである。個人的にはモーテルの部屋を変えた理由や妻の名前が出てこない理由、ジミーがサミーを知っていた理由、ジミー殺害後、車を変えた理由、妻がカーテンに包まれながら瞬きした理由、ジミーを殺した理由、「ジョンGがレイプし、妻を殺害した」という文字だけ鏡文字だった理由、レナードは銃を所持していた理由、一年前から知っていたはずのテディの写真をレナードが持っていなかった理由、1年前にジョンを殺したとき、完了と体に刻まなかった理由、テディが靴の大きさを確認していた理由…わかんないことだらけだった。

しかし、わからないことがおおいながらも、物語の展開は道理がかなっていて一見矛盾点が存在しないと思えるような作られ方が魅力的であった。(短期記憶の記憶時間は10分と述べていたが、受け取った情報の量や環境を考えると記憶時間は変化し、大体10分とレナードが考えていたのではないかと思う。よって、正確に10分で挿話が収まらないだろと思えることも道理がかなっていたと考える。)
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