めしいらず

江戸川乱歩劇場 押繪と旅する男のめしいらずのレビュー・感想・評価

2.8
残念な映像化が多い乱歩原作の映画の中で健闘が光る一編。原作そのままの幻想美とはいかぬまでも、少なくともぶち壊すようなところは全然ない。押絵に己を押し込めた兄の側ではなくて、取り残された弟(と彼が密かに慕う兄嫁)の悲しみに焦点が当てられている。大正の御代と現在を交錯させながら、置き去られた者、老いていく者の哀しみを物語っていく。砂浜のシーンには既視感こそあるけれど美意識ある映像感覚を見せてくれる。
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