これじわじわくるやつだった。序盤から不穏な空気はあったが中盤あたりから静かに加速する。
イタリア・アカデミー賞4部門にノミネート、日本ではイタリア映画祭で上映されたのね。
トニ・セルヴィッロ演じるロザリオがドイツで経営するレストランにイタリア人の若者客。チンピラ風で明らかになんか起こるだろうこれ…という感じ。
ロザリオは難なく対応していたが心中穏やかじゃない理由が徐々にわかってくる。
過去に何があったのか、説明はほとんどなく、台詞の端々から想像させる。
トニ・セルヴィッロの穏やかな時とそうでないときの絶妙な演じ分けがさすが。笑いながらも座った目、黙ってるときの表情だけで語ってる。
原題も邦題も「穏やかな暮らし」。
穏やかな暮らしを求めて人生リセットしたはずなのに。過去はじりじり迫ってくるのだな。
このあとも穏やかな暮らしが送れるとは到底思えない。綺麗さっぱり精算したつもりでも、またどこかで迫ってくるだろう。きっと背後に怯えながら生きてくのだろうな。