半兵衛

戦慄の調べの半兵衛のレビュー・感想・評価

戦慄の調べ(1945年製作の映画)
4.2
この映画のレアード・クリーガーは一見非モテ系男子のようで近くには自分のことを理解してくれる女性がいたり周囲から音楽の才能を高く評価されたりと恵まれた環境にいるが、それがかえって優等生のような暮らしを強制されているような気分になって自分の真の音楽に理解のある歌の才能のある悪女へとハマっていくことになるのが皮肉。

冒頭の夢なのか本当のことなのかはっきりしない殺人場面を通して主人公のサイコパスっぷりを伝える演出も見事だが、後半の悪女に騙され身も心も壊れて犯行に及ぶ主人公がそれ以上にヤバくて怖い。ガイ・フォークス・ナイトという祭りで燃やされる人形のなかに人間大の人形を持ち込み炎のなかに投げ込むときの顔といったら!

主人公の精神と演奏がヒートアップしていくラストの演奏会も決まっている。
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