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大いなる決闘のodyssのレビュー・感想・評価

大いなる決闘(1976年製作の映画)
2.5
【これでいいのか、西部劇】

BS録画にて。

かつて保安官として悪と対決した初老の男(チャールズ・ヘストン)が、以前捕縛した悪人(ジェームズ・コバーン)が脱走したことを知り、自分に復讐をもくろんでいることを予測して、対決しようとするという物語。

まず、この物語が20世紀初頭を舞台としていることを押さえておく必要があります。
というか、作品自体がそこに重きをおいて表現しているのですね。

まだ馬も多く使われているとはいえ、長距離輸送の主役は鉄道。まもなく航空機も出現するかという時代。また、エンジンで動くトラックも登場しています。ただしまだエンジンを始動させるには外に降りて操作する必要があるシロモノではありますが。
また、電話も電信も使われています。

何より、脱走した囚人たちは、今がすでに20世紀になっていると語り合っています。

つまり、彼らが捕縛されたのは、そして主役の保安官OBが活躍していたのは19世紀だったけれど、今は時代が変わっているということ。

それは単に輸送機関や通信機器の整備ということだけではなく、この作品の筋書きにも反映されているのではないでしょうか。

というのは、主役の初老の前保安官は、妻に先立たれ娘とふたりで暮らしているのですが、その娘が脱走囚人に誘拐されてしまい、助けに出かけるのです。そこで、娘のボーイフレンドも同行します。

そこまではいい。
ところが、ラスト近くで前保安官をおびき寄せるために、脱走囚人は娘を意図的に男たちに手込めにさせようとする。むろん、罠なのですが、ここでの前保安官とボーイフレンドの対照的な対応に、私はびっくりしました。

うーん・・・・こういう筋書きって、言ってしまえばシュールですよね。
20世紀的価値観、なんでしょうか。
一昔前(1950年代)なら、こんな西部劇、アリエネーって感じなんですけど。
この映画が作られたのは1976年。アメリカン・ニューシネマの影響があったのかなあ。

とにもかくにも、「これでいいのか」という西部劇なのでした。
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