64年とは思えない素晴らしいサスペンス
エンタメ性のあるハラハラする展開から繊細な人間模様まで映し出すテクニックは流石黒澤明
開始早々から怒涛の長回しの連続でこちらまで張り裂けそうな緊張感を演出
時代特有のクサい演技もなく、長回しの緊張を一切感じさせない高い演技力で映画の質を底上げしている
中でも些細な感情でさえオーラで表現する三船の演技は本当に見もの
前半の密室サスペンス劇、後半の捜査劇の展開も秀逸なものだったが、やはり黒澤明
人間の心情を怖いほど理解した上で演出される、人間の本質を疑わせるような展開は、遠い時代からも、現代に生きる私たちを新たな気づきに導いてくれる
今回は自分の未来か、幼い他人の命かという究極の選択であったが、多分どちらを選んでいても破滅していただろう運命のような気がするので、結局のところは自分の心の持ちようが大事ということなのではないか
だが、その過程で様々なことを考えさせてくれる
終始モノクロの画面に突如映る赤い煙のショットには度肝を抜かれる