自分を映画好きにさせてくれた作品のひとつに青山真治の『Helpless』がある。
何か自分の中に落ちるものがあった。
この『ユリイカ』もいってしまえば
その感覚を持って見ていた。
善悪の彼岸ともいうべきか、この物語がもつ視線は持つべきというより、持ってしまうものかもしれない。
善悪が不明瞭になる瞬間、悪魔を見る。
その悪魔の存在が分かっていたのは最後の二人なのかもしれない。
追悼としての上映ではあったが
彼のもっていたものというのは
少なくとも私の中にもある気が何度もした。
海に虚無を。
2023年5月劇場再鑑賞。