Omizu

沈黙の世界のOmizuのレビュー・感想・評価

沈黙の世界(1956年製作の映画)
2.5
【第9回カンヌ映画祭 パルムドール】
『鬼火』『アトランティック・シティ』のルイ・マル監督の初期ドキュメンタリー作品。アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞も受賞している。

最初は当時こんな道具だったんだ、とかこれどうやって撮影したんだろうとかワクワクするけどだんだん飽きてくる。

作為があからさまで、もうちょっと上手くできなかったのかなと思う。

海洋ドキュメンタリーなら最近だと『オクトパスの神秘』は好きかどうかは置いといてすごくナチュラルで優しかった。演出が上手いのだとヤコペッティの『世界残酷物語』とか一連のはやらせって分かってても面白い。

本作はナチュラルで美しいものでも、やらせでも過剰で逆に面白いものでもない。

今の倫理観だとカメの扱いとか、終盤の大きな魚を閉じ込めるのとかいかがなものかと思うシーンが多すぎる。

クジラがスクリューに巻き込まれてケガしたのは仕方ないことで、そこにサメが集まってくるのは自然の摂理。そこに人の手が加わるべきではない。

あまりにも恣意的で不自然な作品。同年出品されていた黒澤明『生きものの記録』やサタジット・レイ『大地のうた』より優れているとはどうしても思えない。
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