ワーニャおじさん

その街のこども 劇場版のワーニャおじさんのネタバレレビュー・内容・結末

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2度目の視聴。
偶然出会ったふたりが共通の大きな悲しみについてそれぞれの感性で語り合っていく。悲しみに対する2人の感覚は真反対に近いものだけど、それでもそれぞれ当時の痛みが存在していて、ゆっくりと分かちあっていく、これが対話をするということなのだろう。およそ半日ほど共に時間を過ごしただけだと思うけど、彼らはその中で共感と仲違いと寄り添いをしている。濃密な心の交換が行われていた。対話というものはかけた時間の分深まっていくものではあると思うけど、この作品では共通の、それも互いのそれ以降の人生に多大なる影響を与えるほどの悲しみがあり、互いが互いを知ろうと努めていたから、短時間で深い理解が出来たのだ。

彼はこれから、彼女が13年かかってやっと気持ちを整理できたように、長い時間をかけて自省と決意をするのだろう。「また来年」と言った言葉が実現するかは分からないが、「またいつか」という約束であることは間違いない。彼らはいつしか敬語を外して対等に話していたが、最後のハグの瞬間は彼女はお姉さんであったように思う、あの時の彼は、きっと当時の10歳の少年に戻っていたのではないかな。