おまんじゅう

ドッグヴィルのおまんじゅうのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
5.0
罪に対する裁きと赦しの物語。人が人を裁くこと赦すことの傲慢さと困難さを描き出す。

何者かに追われドッグヴィルという片田舎に逃げ込んできた女グレース。そんな彼女を村で匿うことで村人たちに寛容の精神を教えたい作家志望の男トム。グレースの村人たちへの献身的な行いによって徐々に心を開き始める村人たち。しかし、彼女の過去が暴かれることでドッグヴィルの住人が彼女に牙をむきはじめる。こいつらがマジ最悪!

この映画で特徴的なのは、床にチョークで線を引いて、それで家のセットを表現しているところ。まるで舞台演劇のようですが、しかし、これがうまくはまっています。
舞台のようなセットにより、田舎の筒抜けの人間関係や、村人たちの「知ってるのに無関心」であることが説得的に描かれています。とくにグレースとチャックの事件では、この舞台装置によってその残酷さがより際立っていて上手い演出です。

ラストは一種のカタルシスを与えてくれもするのですが、そのカタルシスそのものが傲慢さの象徴にもなっており、一筋縄ではいかない複雑さを物語に与えていると感じました。

人が人を裁くとは赦すとは一体どういうことか?それはいかにして可能なのか?そんな問いかけをこの映画は投げかけてきます。